映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ダーレン・アロノフスキー監督「π パイ」3185本目

ジャケットのイメージから、1930年代くらいの、フリッツ・ラングとかと同時代くらいの作品かと思ったら、「ブラックスワン」とか「マザー(私だけ、全然理解できずにトンチンカンな感想書いてたやつ)」の監督のデビュー作じゃないですか。

映画冒頭、モノクロなんだけどやけにスタイリッシュなフォントでクレジットが流れて、背景は「マトリックス」みたいな数字の羅列、でも音楽が打ち込みっぽくて、初めて最近の作品だと気付きました。遅いよ!といっても1998年、もう23年も前でした。

で、この作品ですが、なんとなくトーンがきつくてあまりちゃんと見られませんでした。「鉄男」もこうだったな。2回通しで流したけど、感想をちゃんと書けるほど凝視できなかったので、このくらいにしておきます。

きっと「ブラックスワン」「マザー」につながる、強迫神経症的な世界を描き続けてるんだろうな。入り込めないのは、自分にそういう部分があまりないからかな…。

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本多猪四郎 監督「フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ」3184本目

「白い帽子の女」に続いて、ブラピつながり(!?)で見てみます。(彼が小さい頃に見て衝撃を受けたとWikipediaに書いてあった)

感想は、この時代、子供向けパニック映画みたいな、怪獣やばけものと人間、あるいはそういったもの同士が戦う映画が数限りなく作られた中で、作りは他と同様だけど「ばけもの」が分離独立して巨大化したフランケンシュタインだという点がユニークでした。決してつまらなくはない。面白いけど、バリエーションが必要だと人はこんなものまで作るのか、という点でとっても興味深い作品でした。

通常サイズのフランケンシュタインは、素直なゴリラの子供みたいで可愛かったです。(人間から作ったはずのものが、なぜこんなに毛深くなるのかは、ちょっとナゾ)

 

アンジェリーナ・ジョリー・ピット監督「白い帽子の女」3183本目

冒頭の、オープンカーで風光明媚な土地を走りゆくブラピとアンジー。フランス映画みたいだ…。このときアンジーの名義には「ピット」が入っている。几帳面な。

彼女のプロフィールを見ると、10代の頃に鬱をわずらったなど、この映画の主人公をほうふつとさせる情報がいくつかある。でも、自伝的作品と言ってしまうとあまりにも単純すぎる気もする。彼女は、アンジェリーナ・ジョリー(・ピット)版「こわれゆく女」(ジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズのやつね)を、自分なりにリアルに作れると思ったのかも。なんて考えてみたり。

「こわれゆく女」は繊細な妻が美しかったけど、女性から見て共感できる部分はほとんどなかった。一方この映画には、終わりかけている関係にすがりつく、とまで言わないまでも、”あのすばらしい愛をもう一度”と夢みている女性のリアリティがあります。共感しようにも、ここまで豪華にかつ狂おしい思いなんて、したことないからわからないけど。

この映画に出演するブラピの男気に拍手を送りたいです。

白い帽子の女(字幕版)

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デイモン・ガモー 監督「あまくない砂糖の話」3182本目

とうとう初めて、健診の結果コレステロール(LDL)が”要治療”の域に達してしまった。今までは、健診の前にしばらくイカとかステーキとか揚げ物とか食べなければいいんでしょ?くらいしか考えてなかったけど、これはちょっと本気出すしかない…。

私は最近、揚げ物をするのが趣味みたいになっていて油脂の摂取量は確かにマズイ。でも、暴飲暴食した覚えはないし、そういえばイトコはみんな痩せてるのにコレステロールだけはアウトだと言ってた。これは間違いなく体質だ。人間は体内でコレステロールを生成できる動物。その原料は炭水化物と脂質とタンパク質。炭水化物と脂質は、減らせる。

という訳でこの映画でを見てみます。主食をなるべく抜いて、1日にご飯はお茶碗半分くらい。元々おかず食いなので平気。でもそれ以外の炭水化物をどれくらいとってるのか。甘い飲み物は飲まないけど、間食で甘いオヤツを食べるのが最大の問題。。。

この映画を見て、市販の加工食品にどれほどの糖分が含まれているか、改めて意識しましたね…やっぱり私の問題は幸せなおやつタイム(※愛の代わりに砂糖)だし、多少は主食も食べたほうがいい、とか思わず、ご飯もパンも食べたくなければ食べないようにしよう。

ガモー監督は元々演技の学校を出てるようで、この後もドキュメンタリーを撮ったり、ドラマに出たりしているらしい。ケンタッキー州やアボリジニの人たちがマウンテン・デューを飲む量はその後減ったかな。減ってるといいな、ほんとに…。

最後のミュージックビデオみたいなのが、面白かったけどちょっと余計。でもこれがやりたかったんだろうな、きっと…。

 

ウェス・クレイヴン監督「サランドラ」3181本目

「サランドラ」ってタイトルはまったくの日本オリジナルなんですね。サスペリアの仲間みたいで、ポスタービジュアルと合わせるとなんとなく怖そうで良いです。しかし自由だな…

「エルム街」と「スクリーム」のウェス・クレイヴン監督。最初からなんとなくB級っぽいのは、画質の粗さとか、俳優たちの普通っぽさか。で、この作品、怖かったかというと怖くはなかったけど、アメリカって広くて、立ち往生したら死ぬような砂漠のハイウェイもたくさんありそうだし、無理やり我を通す元軍人のお父さんとかもいそうだし、もしかしたら穴で暮らしてる猟奇的な家族もいるかもしれない、という本当っぽさは感じました。でも、猟奇的な家族はやっぱり「悪魔のいけにえ」が怖かったよなぁ…。

と言ってもこの映画は、この設定にしては飽きさせず、見る人に驚きとスリルをいいタイミングで見せ続けていて、「スクリーム」でも感じた構成のうまさは感じました。

 

クレイグ・ギレスピー 監督「ラースと、その彼女」3180本目

「空気人形」でもピノキオでもなかった。あくまでも事実を客観的に、ファンタジー化せずに対処した映画だった。ハートウォーミング・コメディというジャンルかな?

これって多分、人形を亡き妻と思い込んでいる重い認知症のおじいさん、とかと似た感じなんだろうな。どこまでコミュニティの人々が協力して暖かく受け入れられるか、という。

ビアンカ(お人形)が、パーティではなんとなく華やかに、瀕死のときは顔色悪く、いろんな表情を見せるのが不思議でしたね。ライアン・ゴスリングはこの作品ではいい奴だけどイケてない地味な青年になりきれてました。

まさに、”期待せずに見たら意外と面白かった”ってやつ。優しい気持ちで見られました。

 

荒木伸二 監督「人数の町」3179本目

設定が面白いので見たかったやつ。でも、落としどころをどうするのかなと思ってたら、やっぱり今一つ落としきれてない結末だったかな、と思います。

出ように出られない謎の音楽~ノイズ~割れるような頭痛は、孫悟空の「キンコジュ」みたいだな。私たちはしょせん、お釈迦様の手の平の上で自由を謳歌しているに過ぎないのかもね…。

映像経験は豊富だけど長編映画は初めての方の脚本・監督だそうなので、この作品の次に、さらにキレのある設定で思いがけない作品を作ってくれるといいなと思います。

人数の町

人数の町

  • 中村倫也
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