すごく面白かった。悲惨な恵まれない子どもたちの映画…とは描かれてない。スラムの子どもギャングたちがどんな風に世代交代して、どんな風に凶悪化していったかを語るのは、カメラの後ろという傍観者の地位を手に入れたことで生き延びて、抜け出すことができたカメラマン。当事者である彼が自分の生い立ちを語るうえで、地域の仲間を見下すような視点はない。みんな生きて、死んだ。いろんな奴がいた。といった調子。原作があるけど、おおむね登場人物は実在してたらしい。
サンバの国の人のリズム感なのかな、せりふや場面転換の切れが良くて、全体がいいテンポの踊れる音楽みたいに気持ちいい。貧しい暮らしだけど人々はカラフルで、画面が、なんというか、盛り上がってる。すごいエネルギー。
銃の入手ルートがなければ、殴り合いのけんかで済むところが、皆殺しできてしまう。悪い大人は子どもたちを手中に収めるために武器を配る。どこの世界にも、極悪化する素質を秘めた悪童が存在して、愛情やお金や教育や、何か大事なものが欠けていると暴発しやすくなる。
リトル・ゼ(ダイス)のような子が町の秩序を変える。一度乱れたものは戻らなくて、暴徒みたいな子どもたちが無秩序に強奪殺傷するだけ。”解決”とか言ってる間に、逃げ出すしかない。
引き続き、続編も見てみます。