<結末にふれています>
これはきっと、「幽霊自身はどんな気持ちなんだろう」というのを想像して作ってみた作品なんだな。
愛する妻がいて、これからの人生を想像している男が突然命を絶たれた。彼女への思いが強すぎて、現世から魂が離れられない。彼女を追っていきたいけど魂なので家についてしまった。家には前から住んでる別の幽霊もいる。会話してみたりする。スペイン語を話す家族が住むようになって、かんしゃくを起こしてしまう。(それを生きている人間たちはポルターガイストと呼んだりする)ふとしたことで、妻が残して行ったメッセージを発見して、その瞬間、”成仏”する。
幽霊になってしまった後は、子どものハロウィンの仮装みたいなシーツを被っただけの姿。あんなにガタイがよかったのに。でも「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のときも書いたけど、ケイシー・アフレックって心に弱さを持つ、負担に耐えられない男の役が、はまる。彼なら突然の死を受け止められず、何世代も家のまわりをさまよってしまうかもしれない、と思える。
彼が最後に何を見たかも語られないし、そもそも、最初から最後までなんの説明もない。これは「彼」というひとりの幽霊の孤独を描いた作品なんだな、と思ったのでした。