映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2012-01-01から1年間の記事一覧

園子温監督「エクステ」147本目

2007年作品。もう毛だらけボーボーな映画でした。 ジャンルは「ホラー」。本当に怖い「悪の教典」や「バトルロワイアル」が「サスペンス」なら「ホラー」は何だ。答:コメディでした。なんだよー、見る前すごく緊張したのに〜。これは「ノーパンツガールズ」…

宮崎吾朗監督「ゲド戦記」146本目

2006年公開。面白いロールプレイングゲームみたいな映画だった。 貧しい身なり、思いもよらぬ出自、予想だにしない出会い、魔法使い、すごくいい人、すごく悪い人、恐ろしい悪意、すべてに打ち勝つ魔法、死の淵、大団円。 面白いんだけど、全体を通じて伝え…

月川翔、斉藤玲子、園子温監督「ノーパンツ・ガールズ」145本目

映画見過ぎですね。2004年作品。 3人の小学生の女の子たちが、望みが叶うとか開放感があるとか、なんかの理由でパンツを脱ぎ棄てるという話。かつてスカートめくりってのが何よりも甘美な性的行動だったことがある大人の男たちにとって、その中の秘密のパン…

中村義洋監督「ゴールデン・スランバー」144本目

2010年公開。 今日もDVD5枚借りてしまった。1枚100円。それで140分もある大作です。 みごたえたっぷり。テレビの年末年始スペシャルドラマの、前後編2本くらいのボリュームです。ストーリーは二転三転四転、絶望しそうになるけど最後はガッハッハと笑わせて…

ホ・ジノ監督「四月の雪」143本

2005年、韓国作品。 映画ばっかり見てますが、「自殺サークル」のままではとうてい眠れそうにないので、録画しといたお行儀のよさそうな映画を1本見ることにします!とてもきれいでミニマルな映画でした。 いわゆるヨン様がのっけから出てます。病院にかけつ…

園子温監督「自殺サークル」142本目

2002年作品。・・・やっと終わった。最後まで見るのが厳しかった〜〜。はー、これはエグい。 石橋凌、永瀬正敏、麿赤児、といった素敵な大人たちが出演してるのがとってもイイのですが、それくらいなければ最後まで見るのもツラいよ。しょっぱなからキツイ。…

「キューティ・ブロンド/ ハッピーMAX」141本目

2003年公開作品。 今回の原題は「Legally Blonde 2 Red, White & Blonde」。 RedはRed sox、Whiteは何だろう。1は楽しめたけど、捨て犬の親探しのくだりはちょっとありえないし、動物愛護が極端になってくるとクジラを食べる私としては、(この人たちはまさ…

ベン・アフレック監督「アルゴ」140本目

2012年アメリカ作品。さっき映画館で見てきました。感想:手に汗握った! ストーリーは、1979年、イラン革命中のテヘランでは革命派がアメリカ大使館を占拠。こっそり逃げ出した6人はカナダ大使の家に潜伏していた。この6人がいないことに革命派は気付き始め…

マイケル・ゴードン監督「夜を楽しく」139本目

1960年公開。原題は「Pillow Talk」。いやー面白かった!!この映画最高です。 「奥様は魔女」的な、明るくチャーミングなアメリカがこの映画にはあります。この頃の電話は一家に一回線を引くキャパがなく、この映画ではとある色男と気の強い美人が回線を共…

ロバート・ルケティック監督「キューティ・ブロンド」138本目

2001年作品。原題は「Legally Blonde」、キュートなミスコン連勝のブロンド娘が、エリートの彼に捨てられて、見返そうとハーバード・ロー・スクールに入って弁護士になる!という話。 原題を見ただけでストーリーがわかるけど、面白かったよ。リーズ・ウィザ…

園子温監督「奇妙なサーカス」137本目

2005年作品。 ※ジャンル「アダルト」なので店頭で借りるとき覚悟してください?変な映画・・・と思って見ていると、とんでもなくグロい展開が始まって、最後はフリークショーで終わります。 変な映画はたくさんあります。この映画がどう変かというと・・・ス…

是枝裕和監督「誰も知らない」136本目

2004年作品。 みんな知ってる、カンヌ国際映画祭、最優秀主演男優賞受賞作品。やっと見た。141分もあります。奔放な母と、ほったらかしにされた子どもたち。母は戻ってこないけど、いっしょにいるときは楽しくてやさしい母だから、子どもたちはひたすら信じ…

ダニエル・アンカー監督「オーケストラの向こう側〜フィラデルフィア管弦楽団の秘密〜」135本目

2004年にアメリカで公開されたドキュメンタリー。フィラデルフィア管弦楽団のさまざまな楽器の奏者たちが、自分にとって音楽とは何か、どういう音楽人生を送っているか − オーケストラの中で、外で、− について、おずおずと語り始めます。私は音楽が大好き。…

岩井俊二監督「リリィ・シュシュのすべて」134本目

2001年公開作品。 11年もたってるのに、準新作扱いで420円なのは何故だ!特別版が最近発売されたからなのかな。(→レンタル料金)事前情報なしで見始めて、最初はなんだか眠い感じだなぁと思って見てたんだけど、だんだん、主人公の市原隼人や、蒼井優といっ…

深作欣二監督「バトル・ロワイアル」133本目

2000年作品。もう12年もたったってことが何より驚き!怖い映画は苦手だけど、先日思いきって「悪の教典」を見たことで、これを見る勇気が出ました。追悼・深作欣二ということは、特に考えてませんでしたが。ひとことでいうと、あっちは快楽殺人で、こっちは…

ジャック・ターナー監督「過去を逃れて」132本目

1947年作品。「午前0時の映画祭」で見ました。 フィルム・ノワールっていうんだそうです。こういう映画。 ノワールっていうくらいだから、暗くって黒くってどんよりするのかと思ったら、起承転結のはっきりした娯楽大作でした。ギャングの依頼をすぐ受けちゃ…

ダニー・ボイル監督「普通じゃない」131本目

1997年、アメリカ作品。トレインスポッティングを会社の友達と見に行ったことを覚えてます。あれは1996年。今から16年前。Windowsでいえばまだ95の時期です。そのすぐ次の作品だから、ユワン・マグレガーも若いわ。共演のキャメロン・ディアスも若いけど。ユ…

アーチー・L・メイヨ監督「マルクス捕物帖 特別版」130本目

1948年アメリカ作品。マルクス・ブラザーズ好きなんですよ。昔よく見ました。VHSの頃。 これは彼らにしては、後期の方の作品みたいです。初めて見ました。 兄弟みんな、顔のシワが増えてます。 それにしても懐かしのハーポのおとぼけっぷり、グルーチョの…

三池崇史監督「悪の教典」129本目

2012年11月公開。 今日見てきた。ヒミズに出てた染谷将太と二階堂ふみが出てるってことと、いい人キャラの伊藤英明が殺人鬼をやるっていうのと、三池崇史作品をほとんど見たことがないので、勇気を出して見てきました。家で1人で見るより、友達と映画館で見…

園子温監督「ヒミズ」128本目

2012年1月公開。人情も血も涙もない、ひどい世界。 金を盗んだり男と逃げたり、まぁひどい人間たちとその子どもたちが、骨組みだけが残ってあとは腐り落ちたような世界で暮らしています。そうか、そうやって心が死んでいくんだな。 と、懐かしいような気持ち…

マイケル・ムーア監督「シッコ」127本目

2007年、アメリカ作品。もう5年もたつのか。 その頃シアトルあたりではWindows Vistaが発売され、いろいろあったけど先に進めたよ、というような空気があったかもしれません。 マイケル・ムーアという監督を称賛する声聞いてたし、大企業の社員は仕事なんか…

ダニー・ボイル監督「スラムドッグ$ミリオネア」126本目

2008年、イギリス作品。面白い面白いと聞いてた作品をやっと見ました。 素敵にエキゾチックなインドのスラムの少年たち、気持ちいいくらい悪いギャングやショーホスト。ドキドキしながら盛り上がって行く展開。面白い映画でした。 1人も知っている役者さんが…

ポール・マザースキー監督「ハリーとトント」125本目

1974年公開作品。ヒッピームーブメント後期なのかな。私が一番好きな“70年代のアメリカ”の映画です。 なんで好きかというと、小さいころに見た「ベンジー」とか「クレイマークレイマー」とかの中に出てくる、やさしい人たちがリラックスして暮らしてるところ…

フランソワ・トリュフォー監督「突然炎のごとく」124本目

1962年のフランス映画。おもしろい映画だった・・・。 全然予想してなかった。最初からずっと登場人物自身の語りなのも、フランス人とドイツ人(もとい、オーストリア人らしい、資料によると)の男性二人が友人として出てくることも、こんな成り行きだという…

ヴィットリオ・デ・シーカ監督「自転車泥棒」123本目

1948年、イタリア作品。第二次大戦後のがらんとしたローマの町を、大勢の人たちがバスいっぱいに乗りこみ、自転車で走っています。ひどく不景気で主人公の男性は長い間仕事につけていない。やっと職安で見つけた仕事には自転車が必須。家の使用済みのシーツ…

アルフレッド・ヒッチコック監督「めまい」122本目

1958年公開。ヒッチコックの有名な作品は、遠い昔に何本か見た記憶があるんだけど、この映画を見たかどうか思いだせない・・・。ので借りてみました。胃が痛くなる名作の天才ヒッチコック。普通の人たちのずる賢さ、欲にとらわれた自分自身への激しい自責、…

ロベール・アンリコ監督「冒険者たち」121本目

1967年、フランス作品。 いわゆるアラン・ドロンが出てます。美しい。 小型機パイロットのアランドロン、小型飛行機のエンジンを1人で開発している中年男を演じているのがリノ・ヴァンチュラ、若くて美しく奔放なアーティストにジョアンナ・シムカス。彼女は…

中島哲也監督「下妻物語」120本目

2004年公開。 お、おもしれぇ。 ヤケに盛り上がってた映画ってのは、見ておくもんですね。 深田恭子の醒めたロリータっぷり、土屋アンナのバカヤンキーっぷり(すごく可愛い)が素晴らしいです。こういう映画作るのって楽しいだろうなぁ。この監督は・・・濱…

マルセル・カルネ監督「天井桟敷の人々」119本目

1945年フランス作品。 古い映画大好き。古ければ古いほどなんだか嬉しい!第二次大戦中に3年3カ月、16億円もかけて作られて、終戦の年に公開されたそうです。 冒頭からレトロで、描き眉の美女、小人のサーカスや盲目を装った物乞い・・・ゾクゾク、ワクワ…

マルセル・カルネ監督「嘆きのテレーズ」118本目

1952年フランス作品。白黒のコントラストの強い映像が、堅くて暗いヨーロッパの空気をよく表しているように思います。養女として育てられた家で、その家の虚弱体質の息子の嫁にされてしまったテレーズ。姑にいびられながらも凛とした美しさを持った女性。夫…