映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

園子温監督「気球クラブ、その後」記念すべき200本目

2006年作品。昔やってた「気球クラブ」のリーダー村上が事故って死にそうだ。当時の彼女ミツコさんに誰かが連絡しなければ!・・・という映画。 「紀子の食卓」より後だし、知ってる俳優さんが大勢出てるのに、なんか自主制作というか仲間内でハンディカムで…

新海誠監督「雲のむこう、約束の場所」199本目

2004年作品。仮想未来における分断された北海道が舞台の、青春小説。かな。 主人公たちが飛行機をいじってる場面とかを見ていて押井守「スカイクロラ」とか思い出すけど、この監督の作品はこないだ見た「星を追う子ども」もこれも、キャラクターが生き生きし…

境宗久監督「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」198本目

2009年作品。ワンピースの映画のうち、なんと10本目!ドラえもん映画かなにかのように、ずーっと映画も作られてたのですね。いまは東映まんが、じゃなくてアニメ祭りで子どもたちはこんなに想像力豊かなものを見てるんだ。ワンピースって、なんの制約もない…

トラン・アン・ユン監督「青いパパイヤの香り」197本目

1993年公開作品。 フランスで作られたベトナム映画、らしい。そうだったのか。タイトルは当時からずっと知ってたけど、こんな映画だったんだ。思ってたのと全然違います。素朴でかわいそうな感じの映画かなと勝手に思ってたみたいです。筋がわかりにくいけど…

西川美和監督「ゆれる」196本目

2006年公開作品。これは、面白かった。見応えがありました。 オダギリジョーから染み出す、(どうでもいいよ)感、香川照之の(真面目にしかできない)感じとかがよく出ています。役者さんそれぞれの、よく知られた特徴と、あまり知られていない弱点をうまく…

宮崎吾朗監督「コクリコ坂から」195本目

2011年公開。時代は1960年代。港町の下宿屋の娘、海は高校生。船長だった父を海で失い、遠くの町で大学の助教授をやっている母がいなくても、学校に行きながら下宿屋を支えている。海は、高校で「カルチェラタン」と呼ばれる部活動棟の建て替え反対運動をし…

吉田喜重監督「エロス+虐殺」194本目

1970年公開作品。歴史に名を残す革命家大杉栄と伊藤野枝、彼らの周りの人たちと、後に彼らについて調査するジャーナリストたちを映画にしたものです。大杉栄って革命家というより、“関東大震災のときに、革命思想を持つ者として伊藤野枝といっしょに憲兵に撲…

テレンス・マリック監督「ツリー・オブ・ライフ」193本目

2011年、まだ新しい作品。とりあえず予備知識ゼロで通して見た。ドラマが始まるのだろうか、でもその中に「2001年宇宙の旅」のように、銀河に生命の真理を見つけようとしているのかな?と思いながらじっと見ていて、すっかり映画に取りこまれました。普通で…

園子温監督「恋の罪」192本目

2011年作品。渋谷円山町で、街娼をやっていた一流企業OLが殺された事件に“インスパイアされた”作品。ストーリーは完全にフィクションだし、事件の経緯も事実とはまったく違います。これが「園子温らしさ」なんだな。やっぱりこの人は面白いです。しばらく他…

西川美和監督「ディア・ドクター」191本目

2009年作品。まったく何の事前の知識もなしに見ました。 笑福亭鶴瓶演じる伊野医師の失踪前と失踪後の時系列がときどき入れ替わるのが、死ぬほどわかりづらかったです。私がノータリンだからかもしれないけど、失踪前と失踪後の場面の空気があまり違わなくて…

佐伯清監督「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」190本目

1966年作品。「女囚さそり」をクリアした私でも、珍しく最後までじっくり見るのがちょっとツラかったです。歌舞伎をみてると勘違いしそうな道徳観で、舎弟を守るために赤の他人を殺し、隣の組のなわばりを荒らし、と血なまぐさいのですが、メインの仕事は石…

ウォルフガング・ペーターゼン監督「ザ・シークレット・サービス」189本目

1993年作品。クリント・イーストウッドが、かつてJFKを守り切れなかった苦い過去をもつ、初老のシークレットサービスを演じています。といっても今より20年分若い。彼がふたたび同じ任務で相対するのは、ジョン・マルコビッチ演じる、高い知能と身体能力をも…

新海誠監督「星を追う子ども」188本目

2011年作品。アニメーションです。 ジブリに似てる、とまで言うと語弊がありそうだけど、キャラクターの顔やストーリー展開、設定などに相似点があります。多分宮崎駿とこの監督の作品を両方見ている人は多いと思う。画面の美しさは、ジブリとは違う美しさで…

トラン・アン・ユン監督「ノルウェイの森」187本目

2010年作品。原作を1988年くらいに読んで以来だから、あんまり筋を覚えてないと、映画を見ながら思いました。当時は読んでものすごく暗くなったように記憶してます。登場人物と年齢が近かったし、いろんなことがあって自分を映してしまって。 自分のまわりに…

ダニー・ボイル監督「28日後」186本目

2002年作品。着々と実績を重ねていたのですね、この頃この監督は。一言でいえば「ゾンビ映画」なんだけど。スリリングに作ってあるなぁ、と思いました。 “生物が凶暴化する、おそろしく感染力の強いウィルスがばらまかれた。”最初の感染者の幸せな生活、事故…

ダニー・ボイル監督「ヴァキューミング」185本目

2001年作品。 TV映画としてBBCで制作されたものだそうです。変なかんじの映画・・・なんだけどイギリスらしい、BBCらしい、不条理でありながら日常的で、ありえないけどリアルな作品でした。掃除機の売上トップになるためには手段を選ばない、超高血圧セール…

チャールズ・チャップリン「独裁者」183本目

1940年作品。こういう映画を見ると、アメリカってすごい国だなと思う。 自由を追求するものすごい底力のある国だな。と。 1940年に、いくら自国に影響が及んでいないといっても、これほどの風刺映画を作って大々的に公開できたんだ。映画全体に、強い反戦思…

ブルース・ベレスフォード監督「ドライビング・MISS・デイジー」182本目

1989年作品。これも名作と呼ばれている有名な作品だけど、初めて見ます。 どうしてこう映画を見てこなかったんだろうと思う一方で、こんなに毎日見ても見きれないほど名作があって嬉しい。この映画は老婦人(ジェシカ・タンディ)とその運転手(モーガン・フ…

チャールズ・チャップリン「モダン・タイムス」181本目

1936年作品。第二次大戦前のアメリカ映画には、今のハリウッドの超娯楽大作的なイメージはなくて、実験的な作品が多いし、ヨーロッパ風味のものも多い、気がします。「間諜X-27」も出演しているのはドイツ人俳優が多いし。無声映画(といっても音楽がついて…

ノーラ・エフロン監督「めぐり逢えたら」180本目

1993年作品。原題「Sleepless in Seattle」は、ラジオ番組のペンネーム「シアトルの不眠症の男」って意味なんですね。邦題の方が印象が薄いな〜と思ってたけど、最後まで見たら納得できました。出会ってすぐ恋に落ちる、というストーリーはよくあるけど、こ…

降旗康男監督「居酒屋兆治」179本目

1983年作品。 わたしの分類では「日本のむかしの映画」のほうに入ります。付き合っていた彼女に金持ちとの縁談が持ち上がったと聞いて身を引き、首切りがやりたくないので総務部への異動を断り、見合いで結婚した女と居酒屋を始めた。昔の彼女は彼のことが忘…

ヴィンセント・ミネリ監督「花嫁の父」178本目

1950年作品。スティーブ・マーティン主演の1991年の映画「花嫁のパパ」はリアルタイムで見ました。賢く愛情深い妻にダイアン・キートン、娘を演じたキンバリー・ウィリアムズという女優さんは童顔で元気いっぱいで、父親から見た可愛い娘ってのをイメージし…