映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

大森一樹 監督「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」1420本目

1996年の作品。 賢治役が緒形直人、その父が渡哲也、母が星由里子、愛する妹が水野真紀…という、時代をよく映したキャスティング。その後、斉藤由貴も登場。 宮沢賢治という人の”夢ばっかり見てるかんじ”がよく伝わってきて、ダメじゃん!でも憎めない、とじ…

デヴィッド・フィンチャー監督「ゲーム」1419本目

1997年とは、思いのほか昔の映画だなぁ。 「セブン」「ファイトクラブ」しか見てなかったら、本気で死ぬほど恐怖に震えて見てしまったかもしれない。 「ゴーン・ガール」のどんでん返しっぷりを知っているから、いちいち何も信じられずに疑って見てしまった…

バイロン・ハワード 監督「ズートピア」1417本目

すごく褒めてる人が多いと聞いてたけど、わりと説明的な映画だなと思った。 猛獣でなくウサギの女の子が、強い警察になることに憧れる→意地悪や無視→キツネとの出会い、活躍と落とし穴と失望→大どんでん返し、大団円。 ものごとは一面的ではないという、最近…

チャールズ・ラッセル 監督「マスク」1416本目

1994年作品、ジム・キャリーもキャメロン・ディアスも若〜い。 CGの効果が、今見ても違和感なく、ひたすら大げさで楽しい。 やっぱりこの映画は、ジム・キャリーとキャメロン・ディアスという二人のラブコメ俳優の才能が際立ってる作品だなーと思います。ジ…

山田洋次 監督「母べえ」1415本目

しんみりと哀しい映画でした。 状況はかなり厳しく理不尽なんだけど、母べえはひたすら愚直にまっすぐに夫を信じ、子どもたちを守り、働きぬきます。 キャスティングが・・・イメージ的にはまさにぴったりなんだけど、いくらなんでも吉永小百合は年齢的に上…

クエンティン・タランティーノ監督「ヘイトフル・エイト」1418本目

どんでん返しに次ぐどんでん返し。ゾクゾクする進行だけど、ドカドカ人が吹っ飛ばされるのもいつも通り。 西のタランティーノ、東の園子温、か? 黒人のサミュエル・L・ジャクソンや英国人ティム・ロスがいるのがそもそも変だけど、デイジー役のジェニファー…

ジョセフ・コシンスキー 監督「オブリビオン」1414本目

トム・クルーズは安定のカッコよさ、オルガ・キュリレンコとメリッサ・レオは安定の美しさだし、スタイリッシュな破壊的未来も素敵だけど、なんとなくあんまり入ってこなかった。人間ドラマが薄いからかな? そして、モーガン・フリーマンの存在感はいつにな…

藤田容介 監督「福福荘の福ちゃん」1413本目

大島美幸、おもしろいなぁ。 紛れもなく女らしい丸みがあるんだけど、語り口はあんまり性別を感じさせないですね。 水川あさみも、率直でいいなぁ。 どこか、軽く突き抜けたような、あったかくてやさしい光みたいなものが感じられます。インド料理屋のくだり…

トッド・ヘインズ監督「キャロル」1412本目

2015年作品。 これは名作、というか、ケイト・ブランシェットのキャリアの頂点になりうる作品になりました。 1950年代に、夫と娘を持ちながら女性を愛して、それを自分の中で肯定して、常に美しく凛としてあろうとした女性。それをこれほど魅力的な人物に演…

フランク・ダラボン 監督「グリーンマイル」1411本目

1999年制作作品。 3時間もあるけど、必要十分な感じ。最後まで自然にストーリーを持って行ってくれます。 死刑執行が決定した人たちの「グリーンマイル」が舞台という、重そうな怖そうなテーマなのに、人情あふれる刑務官たちのおかげで見ていて辛くありま…

佐々木昭一郎 監督「ミンヨン 倍音の法則」1410本目

最初、うわっ素人!ってドン引きしてしまった。せりふが棒読みすぎて。 この監督の番組は、2年くらい前に集中再放送したのを全部見たので、その特殊な純粋さ、美しさを知っていたけど、数十年たった今、ほかの映画の隙間にこれを見るのは強烈です。 だんだ…

ピエール・モレル 監督「96時間」1409本目

フランスの作品って書いてあったけど本当?って思ったけど(言語が英語だし)、リュック・ベッソンは紛れもなくフランスの人だし、リーアム・ニーソンはアメリカにいても無骨なアイリッシュだ。うん。ヨーロッパ。「ニキータ」や「レオン」のリュック・ベッ…

ジェームズ・マンゴールド 監督「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」1408本目

ジョニー・キャッシュっていうシンガーは日本ではあまり知られてない。 破滅型のカントリー・シンガーってくらいにしか私も認識してなかったので、人を殺して自分自身も刑務所に入っていた、みたいな人かと思ったら、麻薬中毒という以外は犯罪を犯す人ではな…

ギャスパー・ノエ監督「LOVE 3D」1407本目

3DじゃなくてDVDで見ました。 ふむ。確かに修正が強すぎて、生々しさはほとんど伝わってきません。 愛とセックスと、純粋さと邪心を真正面からテーマに取り上げた勇気を讃えたいと思います。 思ったほど背骨に響く怖さはなかった。愛を”こじらせて”相手も自…

テレンス・マリック 監督「天国の日々」1406本目

1978年、テレンス・マリック監督のデビュー作。 世界中で、おそらく太古の昔から起こってきた”三角関係のもつれによる犯罪”だけど、加害者でも被害者でもなく、彼らが愛した女性でもない第三者、感受性の強い少女の視点で語られるので、「天国の日々」なんだ…

ウェス・アンダーソン監督「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」1405本目

大変高く評価された「グランド・ブダペスト・ホテル」の監督の、かなり共通点の多い世界観が繰り広げられています。自分の好みではない、という意味で、三谷幸喜を思い出すのは私だけかしら。細かくクスリを笑わせようとするけど、頭を使って見る映画という…

ジョージ・ルーカス監督「アメリカン・グラフィティ」1404本目

なんと、コッポラ製作、ジョージ・ルーカス監督なんですね。スター・ウォーズ前の。割と、私の好きな、郊外の古き良きアメリカの世界なんだけど、最後が唐突に苦い。夢はいつか終わる(突然)ってことを、ことさら強調するのは、監督がまだ若かったからか?…

木下恵介 監督「香華」1403本目

1964年作品。田中絹代の娘が乙羽信子、その娘が岡田茉莉子って豪華! 花魁の娘が芸者になって、真剣な恋に落ちるけど成就せず、恋多き母を恨みつつ、つくし続ける、っていう物語。 切ないです。誰も報われない。花魁は芸者より”下”なのか、っていう問題じゃ…

クロード・シャブロル監督「いとこ同志」1402本目

1959年制作のフランス映画。 ヌーヴェルヴァーグっていうそうです。 救いがない映画が新しいと言われた時代。 フェリーニの作品みたいに、美しい人たちが華やかなパーティ@豪邸に集い、田舎から出てきた堅物青年が巻き込まれて破滅していく。フェリーニの中…

サム・メンデス監督「アメリカン・ビューティ」1401本目

構成が、サンセット大通りだ。主人公が落ちる相手が、あっちは年増、こっちは少女。あっちは仕事に計算ずく、こっちは自由を求めた。そして両方の映画とも、苦くて面白くて美しい。両方、その時のアメリカを映してる。ドリームワークスがこんな映画を作るん…