映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ウディ・アレン監督「マジック・イン・ムーンライト」3055本目

コリン・ファースの役柄に既視感がありすぎるなぁ。でもソフィの霊感を信じるようになってからの後半は、完全ウディ・アレンの憑依状態になりました。ということは英国紳士はニューヨーカーが頑固になっただけってことか…? エマ・ストーン可愛いですね。明…

園子温監督「東京ヴァンパイアホテル」映画版3054本目(KINENOTE未掲載)

連続コンテンツ版としてAmazonプライム初期、2017年に公開されたものは当時見たけど(感想は書かなかったようだ)、映画版として再編集されたようなので、見直してみます。その後「ポーの一族」も読んでバンパイアの基礎知識もつけたし(?)、この映画に森…

ジム・ジャームッシュ監督「デッドマン」3053本目

これまだ見てなかった。ジョニー・デップはキャラが濃いというか存在感が強いから、モノクロの地味さが感じられない。服装のせいもあるけど、まるでウェスタンに見えない。 ディキンソン社長はロバート・ミッチャムなんだけど、年を取って精悍というより本当…

神代辰巳監督「棒の哀しみ」3052本目

30年近く前の作品。そうそう、昔はやくざさんはパンチパーマだった!髪型を見るだけで、誰とぶつからないようにすればいいかわかった時代でした。甲子園球児の坊主頭みたいにわかりやすかった。いつから誰もパンチにしなくなったんだろう。インテリやくざと…

ホウ・シャオシェン監督「珈琲時光」3051本目

動かないロード・ムービーみたいな感じ。20年近く前の作品なので、携帯は折りたたみ式でネットにはつながらない。喫茶店で人は本を読んだりPCを広げたりして、待ち合わせは携帯で話す。JRの駅まわりが、なんとなく古めかしい。浅野忠信がびっくりするくらい…

アルフォンソ・ゴメス=レホン 監督「エジソンズ・ゲーム」3050本目

直流/交流戦争か。エジソンが実は偉いだけの人じゃなかったことは、割と多くの人が「そんなの常識」だと思っているけど、ニコラ・テスラはイーロン・マスクが自分の電気自動車を彼にちなんで名付けたくらいの知られざる天才であることも、まあまあ知られて…

エヴァ・ウッソン 監督「バハールの涙」3049本目

「パターソン」のあの可愛い女性を演じたゴルシフテ・ファラハニが、怒りをエネルギーに戦線に立つ兵士の役をやっている作品。平和な場所に生まれれば、あんなに屈託なくおっちょこちょいで可愛い女性が、内戦地域で生まれると戦士になることがある…生き延び…

スパイク・ジョーンズ監督「マルコヴィッチの穴」3048本目

今見ても、実に面白かった。前はいつ見たんだっけな、変な映画って思ったことは覚えてる。その後「エターナル・サンシャイン」のようなチャーリー・カウフマンが脚本を書いた映画を何本か見て、この「変さ」は監督というより脚本家が原因だと気付いた。スパ…

P・B・シェムラン 監督「博士と狂人」3048本目

OEDといえば、英文科にいた者にとっては、教授たちがときどき口にするけど、ほとんど手に取ってみたことのない”生きている古文書”、”大層なお宝”、”権威そのもの”のようなものでした。SukiyakiやKaraokeも載っているという…。世界中のすべての英単語を1巻の…

ウェス・クレイヴン監督「エルム街の悪夢」 3047本目

これも初見。公開された頃はホラーとか絶対見なかったからな~。。。でも今は冷静に評価できるようになったのだ。とても面白かったです。ホラーはSFみたいに純粋に、仕掛けや工夫に興味があって、この映画の場合は夢から覚めてまた覚めて、昔死んだはずの殺…

レオス・カラックス監督「ホーリーモーターズ」3046本目

映画ばっかり見るようになった頃に映画館で見て「なんじゃこれ?」と思った作品。VOD無料枠に降りてきてたので、再び見てみる。久々の次作「Annette」の公開も始まってるらしいし(日本以外では。いつみられるんだろう私は)。ドニ・ラヴァンは出てるんだろ…

マリオ・バーヴァ 監督「血ぬられた墓標」3045本目

アメリカ映画と書いてあるけど、どこから見てもイタリアン・ホラーだなぁ。「サスペリア」を思わせる大げさではっきりした表情や、ドロドロなのにちっとも暗くなくて、なぜかさっぱりした感じさえするところも。ジャケットが往年の東宝怪獣映画みたいなのが…

崔洋一監督「月はどっちに出ている」3044本目

この映画、好きだったな。方向音痴のタクシー運転手に「月はどっちに出ている?月の方に走ってこい!」って、事務所の人が指示を出すの。ちょいちょい、場面切り替えにこの運転手が出てきては、アサヒビールの金のオブジェやら、富士山やら、迷いようのない…

武正晴監督「アンダードッグ 後編」3043本目

(後編)北村匠海って俳優を知らなかったんだけど、天才ハッカーみたいな雰囲気があって面白い。 しかし後半は、スリリングだったのは彼と車いすの男のからみまでで、あとは試合を盛り上げるために費やされて、ことさら新しいことはないし、群像劇かと思った…

武正晴監督「アンダードッグ 前編」3042本目

(前編)監督は「百円の恋」の武正晴。脚本は負け犬をリアルに描かせたらいま多分日本一の、「喜劇・愛妻物語」の足立紳(百円の恋も)。まず、ボクシングの場面がとてもリアルでいいです。森山未來の反射神経すごいけど、勝地涼のファイティングスピリット…

ケビン・コスナー監督「ダンス・ウィズ・ウルブズ」3041本目

これ見ないまま今に至ってました。今みると、美しいおとぎ話かなと、ぱっと見で感じてしまう…それくらいアメリカの分断ムードは定着してる。この映画が公開された1990年はバブルがはじける前、心にも懐にも余裕があって、今まで長年犠牲にしてきたものへ、申…

マイク・ニコルズ監督「バージニア・ウルフなんかこわくない」3040本目

「卒業」や「シルクウッド」のマイク・ニコルズ監督。この作品のタイトルは何度も耳にしたことがあったけど、どういう内容なんだろうってずっと思ってました。なぜならヴァージニア・ウルフというのは英文科の授業で習った「stream of consciousness」の、フ…

トーマス・リーチ監督「写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと」3039本目

ソール・ライターって人の名前か。つづりはSaul Leiter…「サウルの息子」のサウルだ。と思ったら、ラビの息子なんだ。 Instagramに上げた写真を「ソールライターっぽい」と言われたことがあったけど、この写真家のことは知らなかった。当時の写真を見ていた…

クロエ・ジャオ監督「ザ・ライダー」3038本目

ノマドランドの監督の、それより前の作品。 出演者たちは舞台となったサウスダコタの荒れ地の実際の住人から選ばれたとのこと。主役の、静かなたたずまいで横顔が美しいブレイディ・ジャンドローと妹と父は実際に家族だ。ノマドランドもこの作品も、一番美し…