映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

2025-04-01から1ヶ月間の記事一覧

松本壮史 監督「サマーフィルムにのって」3912本目

初々しい、なんという初々しさだ! 高校の映画部の自主製作映画をフィーチャーしたこの作品を作っているのも若い監督で、すでにアイドルであるにもかかわらす主役の伊藤万理華監督が初々しいし、河合優実も金子大地も初々しくて美しい。祷キララ(ブルーハワ…

近藤亮太 監督「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」3911本目

短篇を見たときは、とにかく画面が暗くてよく見えんと思ったんだけど、長編になったものを見た感想は、とてもていねいに作ってあるし、役者さんたちがみんなとてもいいし、何がどう怖いのか納得感はないけど、そもそも怖さって納得する必要はないのかな、わ…

手嶋悠貴 監督「映画 フィッシュマンズ」3910本目

この間見たばっかりだけど、また見てみました。というか、この映画を1か月ほど前に見て、その後ライブフィルムを見て、なんかこのグループのことはもっと真剣に聴かなければいけないと思って、ずっとSpotifyで流したりして、さらに川﨑大助氏が書いたぶあつ…

黒沢清監督「回路」3909本目

2001年の作品らしい。今から24年も前のインターネット犯罪ってどんなのだったっけ?2000年問題が何もなく終わって、Windowsのバージョンは最後の9x系「Windows Me」と2000の時代か…。映画の中のPCは縦型、モニターがCRTで、見覚えがあるけどデカ!と感じるほ…

ジャンヌ・モロー監督「リリアン・ギッシュの肖像」3908本目

1983年にジャンヌ・モローが監督した作品。 「八月の鯨」が1987年。まだ映画は少ししか見てなかった若い私が、たしか岩波ホールに見に行ったあの作品がリリアン・ギッシュの遺作で、ジャンヌ・モローも2017年に亡くなっていることを考えると、しんみりしてし…

アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」3907本目

タイトルは「ハングオーバー」に寄せてる?ちょっとユニークでコミカルな雰囲気の歩オール・ジアマッティを見るとますますコメディ感が強いけど、ちょっと胸にくる学園ものでした。 冒頭やエンディングの、デフォルトで何のエフェクトも追加してなさそうなク…

川村ケンスケ 監督「THE LONG SEASON REVUE」3906本目

フィッシュマンズ、1999年に佐藤伸治を失くしたあと2006年に再結成ライブツアーを行った、そのライブ。ボーカルが開けた大きな穴を、数々のほかのミュージシャンたちが埋める。ふしぎと、どのアーティストのボーカルも、天国のボーカリストに寄せて歌ってる…

ケリー・ライカート監督「ファースト・カウ」3905本目

すごくおいしいドーナツには何が入ってるだろう?牛乳ってそんなに必須なのかな。いまどきのドーナツミックスには、牛乳そのものが入ってなくても、粉乳とか豆乳とか、代替物が入っているから、何も入ってない「ドウ」を味わったことはあまりないのかもしれ…

呉美保監督「ぼくが生きてる、ふたつの世界」3904本目

ふるさとは、遠くにありて思うもの。家族もそうなのかな。忍足亜希子って昔からきれいで可愛かったけど、今も美しい。こんなに素直でおっちょこちょいで、可愛くて優しいお母さんと暮らすのは、けっこう素敵な毎日なのかもしれない。…ということを、息子がCO…

奥山大史監督「ぼくのお日さま」3903本目

「僕はイエス様が嫌い」、面白かった。新人の尖った作品に感銘を受けたあと、そのまま忘れてしまうこともある。前作の感触をおぼえているうちに次作が見られて嬉しいです。 それにしてもこの画面の美しさ。色調整が絶妙ですよね。印象派の絵みたいに、全体の…

城定秀夫「ビリーバーズ」3902本目

原作は山本直樹のマンガ。この人の作品は、昔いくつか見たことがある。攻撃的で殺伐として女性に残酷でちょっと怖い、という印象だったな。でもこの映画にそういう怖さはない。もちろん、信仰のおかしさや怖さはあるけど、思い込みの激しい3人を無人島に閉じ…

三宅唱 監督「夜明けのすべて」3901本目

病名がつく症状とつかない症状の違いって何だろう?症状の重さではなくて、多分、病院に行ったかどうかじゃないかなと思います。この映画の中の松村北斗(山添)と上白石萌音(藤沢)は、病名をもつ地味なふつうの市民に見えて、改めて二人ともほんと演技う…