映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(90年代以降)

ジェリー・ロスウェル監督「僕が跳びはねる理由」3088本目

東田直樹さんの本を読んで、閉じてた目を開かれたくらい驚いたし感動したのを覚えてます。 彼の最初の本を英訳したイギリス人男性のおかげで、東田さんのことも自閉症のひとたちの心の中のことも、世界が知ることになったのでした。 この映画は、東田さんの…

アラステア・フォザーギル 監督「アース」3076本目

がんばって見なくていい作品、と思って見てみた。 野生の生き物たちを至近距離で臨場感たっぷりに写してて、見ごたえがあります。私、珍しい地形とか奇観も大好きなので、滝を上から(ドローンだよねきっと)写すのとか喜んで見てしまいました。命がけで食う…

ロイ・アンダーソン監督「ホモ・サピエンスの涙」3063本目

これもずっと見たかった。でも映画館でこの監督の作品を見る自分が、間が保てる自信はない。何で見たいんだろう、好きかと言われるとよくわからないのに。 で感想を言いますと、画面は独特のグレーで覆われていて、前にも書いたけどハンマースホイという画家…

ギウリア・ブラザール 監督「ホドロフスキーのサイコマジック・ストーリー 」3057本目

ホドロフスキーは原作だけなのに、タイトルに彼の名前を入れれば日本でもそれなりに売れるんだろうか。ネームバリュー‥‥ 2019年に彼本人が監督した「ホドロフスキーのサイコマジック」っていう作品もあるんだけど、どう違うのか?TSUTAYAでこれをレンタルし…

エヴァ・ウッソン 監督「バハールの涙」3049本目

「パターソン」のあの可愛い女性を演じたゴルシフテ・ファラハニが、怒りをエネルギーに戦線に立つ兵士の役をやっている作品。平和な場所に生まれれば、あんなに屈託なくおっちょこちょいで可愛い女性が、内戦地域で生まれると戦士になることがある…生き延び…

P・B・シェムラン 監督「博士と狂人」3048本目

OEDといえば、英文科にいた者にとっては、教授たちがときどき口にするけど、ほとんど手に取ってみたことのない”生きている古文書”、”大層なお宝”、”権威そのもの”のようなものでした。SukiyakiやKaraokeも載っているという…。世界中のすべての英単語を1巻の…

ライアン・ホワイト監督「愛しのフリーダ」3028本目

いきなり結論をいうと、彼女が私にとってのミッシング・リンクだったんだな。英国的カルチャーとビートルズの間が、途切れてたのだ。 ロンドンの語学学校にちょっとだけ通ってた頃、ロンドン大学の学食でナイジェリアからの留学生の男の子がまだ英語がよく聞…

シェーン・メドウズ 監督「ザ・ストーン・ローゼズ メイド・オブ・ストーン」3013本目

こりゃ参ったな。 バンドの解散後やアーティストの死後にファンになって、「彼らが活動してた時代に生まれたかった」って思ったことが何度もある。ストーン・ローゼズは、私が音楽をまだ聴いてた頃、ロッキン・オンをたまに読んでた最後の時代のアーティスト…

セリーヌ・シアマ 監督「燃ゆる女の肖像」3008本目

やっとVODに降りてきた。フランス映画なのね。 先生を取り囲んで、キャンバスに彼女を描いている少女たち。教室の後ろに、暗くて美しい海の絵が見える。…この様式的で端正な美しさ、萩尾望都とかの時代の日本の少女マンガみたいですね。同性どうしで出会って…

サム・レンチ監督「ブラー ニュー・ワールド・タワーズ」3003本目

ブラーを聞いてたのはMTVを契約してた頃だから…「ザ・グレート・エスケープ」の1995年あたりか。そこまでのアルバム全部とグレアムのソロまで持ってた。バンドスコアまで買ってベースラインを練習とかしてた記憶があるんだけど(ベース持ってないのに)、バ…

ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ監督「TOKYO!」2982本目

これ2013年に見てるけど、KINENOTEでは項目が3つに分かれてるほうに感想を書いてました。今回は何となく3本まとまった形で書いてみます。レオス・カラックスは新作を作ってるって噂を聞いた気がするけど、ミシェル・ゴンドリーの作品って全然見てないなぁ。…

ハニ・アブ・アサド 監督「パラダイス・ナウ」2979本目

<ネタバレあり> ザイードとハーレドはふつーの、別段志が高いわけでもない若者。彼らはある日「選ばれて」、ジハードという名の特攻へ行かされる。髭を剃られて一張羅みたいなのを着せられて、ちょっとばかりいいご飯を食べさせられて、考えるひまもなく。…

ヴァーツラフ・マルホウル 監督「異端の鳥」2975本目

ものすごく構えて見たからか、怖くはなかった。怖そうで映画館には行けなかったけど、行っても大丈夫だったかもしれない。残酷シーンは、最近のスプラッターなホラー映画と違って、露悪的じゃなく、むしろ抑えてる。血の色が見えない白黒映画だし、切り落と…

ベルナルド・ベルトルッチ監督「孤独な天使たち」2965本目

ベルトルッチ監督最後の作品。2013年。 感触は、巨匠の晩年の作品っていうより、ヨーロッパの気鋭の社会派新人監督の作品みたい。たった1週間のあいだに、目に見えるほど少年が成長するわけではないけど、「友だち」じゃない「きょうだい」との出会いで彼は…

ジェームズ・アイヴォリー監督「ハワーズ・エンド」2958本目

これなぁ、大学のゼミでやったやつ。公開当時にロンドンで見て、けっこうイメージ通りだった気がするけど、あまりに遠い昔なので久しぶりに見直してみます。(押入れの奥で発見した当時の駐在レポートによると92年5月21日にロンドンのCurzon Cinemaというと…

ペトリ・ルーッカイネン 監督「365日のシンプル・ライフ」2947本目

裸(文字通り)からのスタートで、倉庫から1日1個だけ物を出してくる、という生活を極寒の地ヘルシンキで丸1年間やるなんて、体中けむくじゃらの動物でもなければ無理でしょう!でもこれドキュメンタリーですね。実際やったんですね。 私は「何も持たない生…

ヴィム・ヴェンダース監督「時の翼にのって ファラウェイ・ソー・クロース!」2943本目

名作 「ベルリン・天使の詩」の”続編”があったんだ。感想を書いてる人たちの評価が軒並み低い。みんな、もっとしんみりしたかったのに、監督が笑いに振ってきたから? 地上に降りたダミエル(ブルーノ・ガンツ)は「フニクリフニクラ」など大声で楽しそうに…

レミー・ベルヴォー/アンドレ・ボンゼル/ブノワ・ポールヴールド監督「ありふれた事件」 2941本目

万引きくらいのノリで殺人を繰り返す殺人犯の密着ドキュメンタリーを撮ろうと撮影クルーが常に同行している。殺人犯は常に普通に朗らかで、カメラに向かって偉そうにいつも自説をぶっている。これは1992年の作品だけど、今ならきっと殺人を投稿するYouTuber…

ジュリアン・テンプル監督「LONDON CALLING ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー」2931本目

私はピストルズとかダムドみたいな頭の悪そうなパンク・ロッカーが好きだったので、政治色の強いクラッシュは「へん!」だったのですが、フジロック第一回(1997年開催)を聴きに来日して、2日目が台風で中止になったら富士急ハイランドでジェットコースターに…

トーマス・アルフレッドソン 監督「ぼくのエリ 200歳の少女」2929本目

バンパイアといえば最近「ポーの一族」づいてて、マンガを通しで読んだり宝塚の舞台のBlu-rayまで見たりしてますが、これもまたその一つ。プラチナブロンドの真っ白な子ども、雪のなかの水色の車…北欧らしい映像の世界。この子がバンパイアかと思ったらこっ…

サーラ・カンテル監督「オンネリとアンネリとひみつのさくせん」2923本目

オンネリとアンネリはもう、アメリカの学園ドラマ(ハンナ・モンタナみたいな)とかに出るようなギャルに育ちあがっています。ファッションももう「お揃い」じゃなくてそれぞれの個性を出しています。…これもいいけどやっぱり、可愛さでは「ふゆ」のドレスみ…

サーラ・カンテル監督「オンネリとアンネリのふゆ」2922本目

サンタの国フィンランドだもんなぁ、クリスマスの飾りが実る草も育ててたし、やっぱり冬は避けられません。(私がわずか2泊でヘルシンキに行ったのは年末年始で、あまりの日の短かさに失敗したと思ったけど、この映画で若干救われたような) オンネリとアン…

サーラ・カンテル監督「オンネリとアンネリのおうち」2921本目

あまりに可愛いのでいつか見ようと思ってた作品がU-Nextにあったので、見てみます。まだ無料期間。(ちょっと申し訳なくなってきた) 私は中年とはいえ小さい女の子だった経験があるので、彼女たちの世界は時間だけさかのぼれば思い出せるけど、(当たり前だ…

ピレ・アウグスト監督「マンデラの名もなき看守」2913本目

ビレ・アウグストがこういう映画(社会派、っていうの?)も作ってたんだ。 ネルソン・マンデラがらみの映画はいくつか見たけど、管理者側の作品は初めて。もう、人間はいい人と悪い人に分かれるっていう考えは止めるしかないのだ。上に立つ人がいると、恨み…

バーナード・ローズ 監督「パガニーニ 愛と狂気のバイオリニスト」2902本目

クラシックには全くうといのでパガニーニのことも知りませんでしたが、彼を演じ、演奏もしたバイオリニストのデイヴィッド・ギャレットってすごく魅力的ですね。実際は知らないけど、繊細で(女好きっぽくて)破滅的な雰囲気があって。アルマーニとかがショ…

ギャスパー・ノエ監督「CLIMAX クライマックス」2885本目

ギャスパー・ノエ監督の作品を見るのは緊張する。 心の準備をするために、先に他の方々のレビューを全部読む。 みなさん書かれているように、ダンスシーンは本当に素敵。どうやったらこんな風に身体を動くんだろ、でも動くだけじゃなくて体の中に何かすごい…

トム・ティクヴァ監督「ヘヴン」2877本目

<ネタバレあり> 故クシシュトフ・キェシロフスキ監督が映画化を望んでいた三部作のうち、唯一脚本が書かれていたのがこの作品だそうです。トム・ティクヴァは個性的な監督だし、ケイト・ブランシェットは素晴らしい女優なので楽しみ。 「地獄」篇をダニス…

クロード・シャブロル 監督「甘い罠」2864本目

ユペールせんぱいの、またひとつの怖い映画。でもあんまり怖くはなかったな。いつものように「悪い」けど。この映画は出生のミステリーというより、気に入らないものを抹殺し続ける強い悪女のドラマでした。 「私は悪に長けてるの」と、表面は善をよそおって…

ドメ・カルコスキ 監督「トム・オブ・フィンランド」2855本目

2016年末にフィンランドに行ったとき、スーパーでムキムキな男性の絵がついた「トム・オブ・フィンランド」のコーヒー豆を売ってて、何だろうと思いつつお土産に買って、帰ってからググったら、実在したゲイ・アートのイラストレーターでした。映画はその直…

パスカル・トマ 監督「奥さまは名探偵 パディントン発4時50分」2854本目

クリスティの「親指のうずき」を原作とした前作につづいて、同じ探偵がまた新しい事件に巻き込まれます。こちらも普通~~の奥さんが、どこにでもあるフランスの村に出かけていきます。(フランスにパディントン駅はないんじゃないかと思うが) そして今回も…