映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マッテオ・ガローネ 監督「ほんとうのピノッキオ」3527本目

50年前ならロベルト・ベリーニがピノキオを演じたらぴったりだったけど、この映画ではゼペット爺さんの方です!これもまたぴったりだなぁ。 DVDで見たら、収録されてる他の映画の予告編がホラーばっかりだったんだけど、この映画自体はおなじみのピノキオの…

フリッツ・ラング監督「外套と短剣」3526本目

フリッツ・ラング監督の未見の作品は、見つけ次第片っ端から見る。これはレンタルDVDにあったやつ。 ラング監督らしい、ゾクゾクさせる映像がときどきあるけど、最初のドキドキが最後までは続かないなぁ。ドイツ語がしゃべれる核技術の研究者がアメリカのス…

ジョン・ダウアー 監督「LIVE FOREVER」3525本目

久々にTSUTAYA宅配レンタルのサイトを見たら「旧作1枚39円」となっていたのでレンタル。これで「借りたいリスト」が空っぽになった(品薄で借りられないものを除く)。 これは1990年代のブリットポップと当時の英国に焦点を当てたドキュメンタリーなんだけど…

ミケル・ノガール 監督「特捜部Q キジ殺し」3524本目

<ネタバレあります> なぜかU-NEXTでこれだけ見つからなかったのでAmazonプライムで見ました。 シリーズ2作目。猟奇的に見えた少女キミーが長期間にわたって姿を消して地下生活を送るのがピンとこないし、肝心の警官の子どもたちが殺害された動機やその状況…

ミケル・ノルガード 監督「特捜部Q 檻の中の女」3523本目

北欧に太陽はないのか。とか言いたくなるくらい、ひたすら暗い画面。デンマークとノルウェーを舞台に、地元出身の刑事とイスラム系の記録係が独自捜査を続けて真実にたどりつく、というシリーズの第一弾。だいたいどれも、陰鬱な積年の怨恨が動機だし殺害方…

ジョージ・ロイ・ヒル 監督「スローターハウス5」3522本目

久しぶりに今敏監督の「妄想代理人」を見ていたら、彼が影響を受けたというこの作品を見てみたくなりました。 先にあらすじを読んでよかった。戦場の最前線、塹壕の後ろで敵とけん制し合っている若い男が、目を閉じると新妻と二人きりで部屋にいる。また目を…

ザイダ・バリルート監督「TOVE/トーベ」3521本目

なんとなく既視感があるのは「リンドグレーン」を見たからだな。 第二次大戦前に生まれて戦禍を経験したトーベは、自由を信じて自由を実践する大人になる。 「ムーミン」って童話というより哲学書のようで、「星の王子様」やピーナッツなんかもそうだけど、…

トマス・ヴィンターベア 監督「アナザーラウンド」3520本目

酒は百薬の長・・・なわけないだろ! この間「ファンタスティックビースト」で見たマッツ・ミケルセンが何かをラッパ飲みしてるサムネイルが気になって、見てみることにしました。酒を飲んだ方が仕事の効率が上がるだって?なんとなくアイルランドとかタスマ…

ルイーズ・オズモンド 監督「ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生」3519本目

ケン・ローチに対して、リスペクトがある一方、そうは言ってもオックスフォードを出てBBCの社員になった人でしょう?という穿った気持ちも少しあった。この作品の中で、BBCがチャンネルを増やした時に増員が必要になって、労働者階級の人たちもたくさん雇わ…

ランディ・ムーア監督「エスケイプ・フロム・トゥモロー」3518本目

よくD社が差し止めないなぁ。弁護士費用もかけたくないのか・・・。どういう論点になるのか見てみたかったな。 映画の学校の卒業制作みたいなクオリティ。それに「黒いファミリー向けテーマパーク」なら、ティム・バートンとかの高品質な作品がたくさんある…

ジル・シュプレッヒャー 監督「パーフェクト・プラン」3517本目

犯罪ものの映画みたいだけど、悪のわらしべ長者?みたいに、お金の一部を預かったり渡したり、バーでつい女にひっかかったあとで同僚に見られてしまったり・・・。悪の連鎖がどんどん高まっていく感じ、「ラルジャン」みたいで怖いですね。 主人公が、強欲だ…

アラン・パーカー監督「アンジェラの灰」3516本目

タイトルとビジュアルだけ見て、アンジェラという人が戦禍で灰になって残された小さい子供がカメラを睨んでる辛い映画かと思ったら、死んだのはアンジェラの子どもたちだった。 アラン・パーカーって「小さな恋のメロディ」~「フェーム」~「ザ・コミットメ…

アンヌ・フォンティーヌ 監督「美しい絵の崩壊」3515本目

<結末にふれています> 私の大好きなナオミ・ワッツと「コングレス未来学会議」のロビン・ライトか。監督は女性。彼女がオドレィ・トトゥで撮ったココ・シャネルの映画はピンとこなかったけど、この作品はどうだろう。 ナオミ・ワッツ演じるリルとロビン・…

ジャン=リュック・ゴダール監督「カルメンという名の女」3514本目

この作品は、ゴダール本人がイメージ通りの気難しいおっさんとして入院しているのが、メタ的だけどリアルに感じられて、ちょっと見やすい映画かなと思ったんだけど、撃沈。クラシック音楽が大きく鳴り続けていて、きれいな女の子と男の絡み方が全然理解でき…

アレクサンドル・ソクーロフ 監督「エルミタージュ幻想」3513本目

2002年の作品。エルミタージュって、写実的な名画を集めたクラシックな美術館なんだな。ソビエトになる前の貴族趣味の東ヨーロッパ。私は世界史をちゃんと勉強したことがないし、美術史もあまり知らない。比較的新しい美術作品を見るほうが楽しいほうなので…

ベンジャミン・リー監督「画家と泥棒」3512本目<KINENOTE未収録>

<内容に触れています> U-NEXTでもAmazonプライムでも字幕付きで公開中だけどKINENOTEには情報がない。これは紛れもなく”映画”だけど、日本で劇場公開かビデオスルーされないものは載らないんだよな~。VODも混ぜてやってください是非。 ギャラリーで展示中…

ジャン・リュック・ゴダール監督「メイド・イン・USA」3511本目

追悼ゴダールシリーズの続き。これは楽しい。なぜなら、ただでも可愛いアンナ・カリーナがあまりにも可愛い服を着てスパイごっこをしている感じが、もはやジャック・ドゥミやロジェ・ヴァディム監督作品、あるいはチェコ映画「ひなぎく」のようです。ゴダー…

ヴィム・ヴェンダース 監督「アランフェスの麗しき日々」3510本目

この邦題、原題の直訳なのでしょうがないけど、第一印象は、なんかあんまり面白くなさそうなタイトルの典型みたいで・・・。原作はヴェンダース監督と何度も組んでるノーベル賞作家ペーター・ハントケなのに。 そして鑑賞前におなじみのレビュアーの方々の感…

ポール・サルツマン 監督「ミーティング・ザ・ビートルズ・イン・インド」3509本目

邦題のうち「インド」だけ日本語。デヴィッド・リンチが製作総指揮なので超越瞑想のPRっぽいのかなと思ったら、その色は弱めな印象でした。 これより後に作られた「ビートルズとインド」というよく似たタイトルのドキュメンタリーがU-NEXTで配信中で、そっち…

グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督「ハートストーン」3508本目

先日見た「ニトラム」を思い出しながら見ます。アイスランドもタスマニア島も、欧米社会のなかでは辺境中の辺境。人種差別や女性差別といった、世界の他の地域でテーマになりがちなものではなく、ムラ社会のなかで孤立していく同じ属性の人々の中の「違い」…

マーティン・スコセッシ監督「カジノ」3507本目

面白かったなー。ロバート・デ・ニーロの腹の座った演技、ジョー・ペシのインチキな軽さ、シャロン・ストーンの壊れた美しさ・・・。3時間近くの長尺を飽きさせずに見せてくれます。 ただ、多分みんな思っただろうけど、なんとなく既視感があって新しい感じ…

エドガー・ライト監督「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」3506本目

面白かった! おバカコメディなんだけど、大変テンポが良くて、笑える以上の充実感があります。さすがのエドガー・ライトなんだけど、なによりサイモン・ペッグがいるだけで可笑しい。それに、名前を知らないイギリスのおじさんおばさん俳優たちの演技のうま…

ラウル・ペック監督「私はあなたのニグロではない」3505本目

これはアメリカだけのことじゃないし、黒人だけのことじゃない。世界中に長い歴史があるし、日本でも、移民に対する暴力の歴史は長い。(※語り手に対して、「アメリカの黒人の経験は特殊じゃない」と物申す意図ではありません、他人ごとではない、自分のこと…

ジャン・リュック・ゴダール 監督「女と男のいる舗道」3504本目

追悼ひとりゴダール特集。U-NEXTにある未見の作品を古い順に。 昨日みた「小さな兵隊」は私が苦手な観念的社会的な要素が多めだったけど、映画初出演のアンナ・カリーナを「あーこの美少女に堕ちたのねゴダールは。なるほど」と思いながら見られたのはよかっ…

ジャン・リュック・ゴダール監督「小さな兵隊」3503本目

追悼ゴダール監督。 見た作品もけっこうあるのに、見てない作品が山になってる。多作すぎる。 長い長いフィルムグラフィを見て初めて「中国女」や「東風」といったYMOの有名楽曲のタイトルが彼の作品から来てると気づく。(作詞してたクリス・モスデルの趣味…

ベン・スティラー監督「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」3502本目

どこかでこれこそが史上最低の映画だと聞いて、わくわくしながら見てみました。 感想:まったくその通りだ・・・想像を超える最低さ・・・見なきゃ良かった・・・。豪華すぎるキャストが嬉々として演じるバカどもに、むかっ腹が立ってきます。膨大な命が失わ…

フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 監督「ある画家の数奇な運命」3501本目

ゲルハルト・リヒターのことは全然知らないんだけど、今初の日本での展覧会が行われていて、明日にでも行ってみようと思ってるというので予習のために見てみます。 感想。映画としてすごく面白い良作でした。主役のトム・シリング、ティモシー・シャラメのよ…

ミハイル・カラトーゾフ監督「鶴は翔んでいく(戦争と貞操)」3500本目

<結末にふれています> 「怒りのキューバ」を見たら、これもモスフィルムの公式動画がYouTubeに載ってたので見てみました。カメラは「キューバ」と同じセルゲイ・ウルセフスキーだけど「キューバ」より7年前、1957年の作品。冒頭からなんだか重苦しいヨーロ…

ミハイル・カラトーゾフ 監督「怒りのキューバ」3499本目

Twitterでこの作品のハイライトシーンがなぜか何度も流れてくるのを見て、まるで実現不可能にしか見えないそのカメラワークに驚愕したのは私だけではないはず。YouTubeで公式動画が見つかったので見てみました。 キューバは憧れの国。ツアーで見て回れたのは…

テッド・コッチェフ 監督「荒野の千鳥足」3498本目

もう、日本の配給会社がマジメに宣伝する気がないのが明らかなこの邦題(笑)。「死霊の盆踊り」と双璧を成すといっても過言ではないな。 オーストラリア映画か・・・。「マッドマックス」だの「クロコダイル・ダンディ」だの、思い切るとドッカーン!とやら…