映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

黒澤明監督「姿三四郎」2373本目

これが黒澤監督の初監督作品だそうな。 志村喬、大河内伝次郎(「百万両の壺」よりだいぶ年を取ってる)、月形龍之介といった大御所や轟夕起紀子が出てるのに、初監督作品というのはちょっと意外。 人間のどろどろした部分がほとんど出てこなくて、三四郎は…

ルキノ・ヴィスコンティ監督「地獄に堕ちた勇者ども」2372本目

原題は「The Damned」。ロンドンパンクのダムドのバンド名はここから来たわけだな。DVDジャケットの写真はまるで、シド・ヴィシャスの彼女だったナンシー・スパンゲンみたいだし(あ、男か)…しかし大胆なタイトルですよね。貴族の話なのにDamnedなんて。彼…

アレクサンドル・コット 監督「草原の実験」2371本目

舞台はカザフスタンらしい。主役の女の子の容貌は、北欧とアジアとアラブが長年混血してきたふうの、涼やかな美しさです。この子を見てるだけでもいいな、この映画は。 監督はタルコフスキーとパラジャーノフを敬愛しているのに違いない。静かで美しい風景と…

新藤兼人監督「縮図」2370本目

面白かったなー。 乙羽信子がまだ若くて、ホッペもプリプリなんだけど、腹の据わった一人前の芸者役が板についています。さすが宝塚、身のこなしも声の出方も基礎がしっかりしてる。 こんなに優れたエンターテイナーが男たちの“なぐさみもの”として転々とす…

エルマンノ・オルミ監督「聖なる酔っぱらいの伝説」2369本目

「~の伝説」ってタイトルには弱いな。寓話めいていて、現実をひょいっと超えてどこか遠くの異次元が現れてきそうで。ましてや「木靴の樹」の監督とあっては。 主演はブレードランナーのルドガー・ハウアーだよ。 あの戦闘型ロボットみたいだったルドガー・…

ジャン・ルノワール監督「ゲームの規則」2368本目

ジャン・ルノワールの作品って「大いなる幻影」しか見たことない、それも7年前。名画のルノワールの息子って知らなかった。「幻影」はなぜかエリッヒ・フォン・シュトロハイムが出てたことしか覚えてない…。 この映画は、登場人物が多くて人間関係が複雑なわ…

トム・ケイリン監督「美しすぎる母」2367本目

エディ・レッドメインの少年時代を見てみたくて借りたんだと思う、多分。原題は「Savage grace」、野蛮な高潔、とでも訳すのかな。 見る前につい解説を読んで結末を知ってしまったけど、知らなかったらどういうストーリーだと思っただろう? 息子トニー(エ…

川島雄三監督「あした来る人」2366本目

原作は井上靖。助監督が今村昌平!冒頭、いきなり山村聡社長を訪ねてくるちょっと怪しい三国廉太郎。彼が社長令嬢の月丘夢路と列車の食堂車で出会った経緯も可笑しい。学者ってのは昔も今も同じだな…。 しかしテーマはまるで最近の「トレンディドラマ」(っ…

ロバート・アルトマン監督「ゴスフォード・パーク」2365本目

とっても英国的な洋館が舞台。執事がいてマギー・スミスがいて、おまけに殺人事件まで起こる。人気ドラマの「ダウントン・アビー」とか見てる人にはおなじみの世界かな。アガサ・クリスティ好きな私としても、なんとなく覚えのある世界。 アルトマン監督の映…

オットー・プレミンジャー監督「黄金の腕」2368本目

ヒッチコックにしては極端に冒頭のシークエンスがオシャレすぎると思ったら、プレミンジャー監督ものでした。さすが~~。そしてプレミンジャーなのでミステリーはなく、明るいノワールといった感じ。誰も何もいいことはないんだけど、因果応報によるカタル…

バート・レイトン監督「アメリカン・アニマルズ」2364本目

なんともいえない映画だったなぁ。 「無軌道な若者の犯罪防止を目的とした啓蒙映画」みたいだけど、胸躍る感じが伝わってきて、失敗した後の痛みも含めて、楽しめた感じがある。なんだろう、その楽しさは悪趣味な再現バラエティ番組のようでもある。多分この…

ペドロ・アルモドバル監督「バチ当たり修道院の最期」2363本目

原題「Entre Tinieblas」は「暗闇の間」という意味だそうです。シリアスっぽい~。ふざけた邦題のほうが映画をよく表してますよね。 DVDジャケットの写真がすごいけど、実際この僧院では虎を飼っているという設定(笑)。ヘロイン中毒の尼僧やロマンス小説を…

アルノー・デプレシャン 監督「キングス&クイーン」2363本目

この監督の作品は初めて。なんで借りようと思ったのか思い出せない。。。 150分もある大作だけど、テレビドラマのように日常的で、テンポよく流れていくのでちっとも長く感じません。要は、ノラ(多情な女性の典型的な名前?)の最初の男、二番目の男、結婚…

川島雄三監督「雁の寺」2362本目

川島雄三監督作品、どんどんレンタルしています。しかし昔の日本映画ってほんと、セリフが聞き取りにくいな~。 冒頭、日本画の大家(中村鴈次郎)と彼の妾の若い芸者里子(若尾文子)、住職(三島雅夫)が語らっている場面は平穏だけど、老人と若い女がいち…

ペドロ・アルモドバル監督「KIKA」2361本目

アルモドバル監督の作品は、女性それも母を礼賛するのが多いなぁ。男性は彼女たちを粗末にして殺されるような役どころが多い。女(キカ)はこの映画でもまた()父とも息子とも寝るんだな…。 なぜかファッションデザイナーのベルサーチとコラボしてる。なぜ…

アンドレア・ディ・ステファノ 監督「エスコバル 楽園の掟」2360本目

中南米こわいな。いや、今はどうなんだろう。 「バリー・シール」は同じテーマの作品だけど、アメリカ側の協力者についてアメリカ目線で描かれていたので、中南米の闇については、「あとはムニャムニャ…」という感じでわからないままでした。「麻薬王」なん…

アルフレッド・ヒッチコック監督「救命艇」2359本目

究極のシチュエーション系のドラマですが、戦時中なので敵から砲撃された船の救命艇が舞台で、敵も一人乗り込んで来たりします。メンバーを失うことに関してはみんなとてもカラッと冷静。それもやはり戦時中だからかな。 どうしても思い出すのが、新藤兼人「…

川島雄三監督「お嬢さん社長」2358本目

「幕末太陽伝」や「わが町」の川島雄三監督の作品ということで借りてみましたが、美空ひばりの主演作ですね。16歳のお嬢さんという設定。歌っても立派だけど、若社長と言われれば納得してしまう、この押し出しの強さ。重量感。秘書の月岡夢路が賢くやさしく…

ペドロ・アルモドバル監督「アイム・ソー・エキサイテッド!」2357本目

冒頭にカメオ的にアントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスが出てきます。(こいつらが車輪の整備を忘れたんだな!) その後の機内ではいつものロラ・デュエニャス、客室乗務員(男ばっかり!)には「バッド・エデュケーション」でオカマを演じたハビエル・…

キャリー・ジョージ・フクナガ 監督「闇の列車、光の旅」2356本目

この映画は、ガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナが製作に名を連ねてるのでずっと見ようと思ってたのですが、よく見たら監督のキャリー・フクナガは次の「007」の監督に抜擢された人ですね。この映画のあとには「ジェーン・エア」を撮ったのね。 で…

ビガス・ルナ監督「ハモンハモン」2355本目

1992年のスペイン映画。翌年に日本でも公開されてたんですね。 今は、ペネロペ・クルス(またはハビエル・バルデム)の若かりし頃に興味を持って見る人が多いんだろうな。二人とも若い!ペネロペ18歳ハビエル23歳。ペネロペはまだふわっとしたお嬢ちゃんのよ…

グスタフ・モーラー 監督「THE GUILTY(ギルティ)」2354本目

タイトルの「Guilty」に「The」がついてるってことは、名詞なのかな。「犯罪者」?「最も罪深い者は誰か」というニュアンスを感じてしまうと思っていたら、事実とても深いタイトルだったと、見終わってから実感しました。 誰が誰を殺そうとしているのか。誰…

リン・ラムジー 監督「ビューティフル・デイ」2353本目

ホアキン・フェニックスが、認知症の母と同居する、とても怪しい男を演じています。「ジョーカー」の彼の役と重なりますね。トッド・フィリップス監督あるいは別の製作者がこの映画にヒントを得た可能性が高い? とても芸術性の高い美しい映像でした、特に水…

ジェームズ・グレイ監督「アド・アストラ」2352本目

(一部ネタバレあり) マレーシア航空の機内で鑑賞。あんまり新しい映画なかったなぁ…。 この映画は、ひとことで言うと、宇宙を舞台とした父と子の人間ドラマでした。ブラピにはやっぱりSFより地に足の着いたひとの情けの世界が合うのだ。 宇宙で人が実は生…

ロブ・レターマン監督「名探偵ピカチュウ」2351本目

※ネタバレありますこれって「TED」をベースにしてアメリカ人が造っちゃった映画?ピカチュウだけしゃべって、最後にそれがじつはxxだったとわかるなんて、もう本筋とは全く違うコミケの同人誌の世界。と思ったら、名探偵ピカチュウってゲームがあったのね。…

ペドロ・アルモドバル監督「グロリアの憂鬱」2350本目

アルモドバル監督の作品のなかで、これが一番昔のものです。カルメン・マウラがまだ若くて、憂鬱な妻の役。昨日見直した「ボルベール」では謎の年配女性の役でした。今この映画を作るとしたら、妻の役は誰だろう? 一見普通の家庭だけど、10代の息子は麻薬を…

スパイク・リー監督「ドゥ・ザ・ライト・シング」2349本目

パワフルで引き締まった女性のリズミカルな動き。タイトルの文字の色使い、強いビート…しょっぱなから、ハリウッド的なアメリカ映画と、まるで違います。今のブルックリンはアートっぽくて、なんとなくナチュラルでオーガニックなカフェとかがたくさんある観…

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督「ファスビンダーのケレル」2348本目

こんな言い方はよくないかもしれないけど、この映画は…ダメだな。この映画はいろんなところがおかしい。なぜかフランス語で、口パクの人が多くて、臨場感が薄い。建物の中はリアルだけど、屋外はぜんぶスタジオに設けたセットで、舞台みたいな閉所っぽい雰囲…

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 監督「マリア・ブラウンの結婚」2347本目

映画評論やさまざまなオススメ情報を読み散らかして早10年近く、名前は知ってるのにいまだに一本も見たことのない監督がいました。それがファスビンダー監督です。TSUTAYAに行っても、「映像乱れあり」の大昔のVHSしかないし、なかなかハードルが高かったの…

トニー・スコット監督「アンストッパブル」2346本目

これは面白かった。見た人たちの感想に「引き込まれて最初から最後まで一気に見た」というのが多いのも、わかります。最近よくある、CGやストップモーションなどを使った非現実的なエフェクトなど何一つなく、ある意味白黒の時代の映画みたいにシンプルで勢…