映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

中江裕司監督「ナビィの恋」5

1999年作品。”名画”(立派な映画、くらいの意味、たぶん)ではないのかも。けどいい映画だ。…と思いました。いつかまた見てみたい。

東京で仕事をしていた娘が沖縄の小さな島に戻ってくる。同じ船に実は、彼女のおばあちゃんの若いころの恋人が乗っていた。おばあちゃんと彼は再会し、60年前の思いがよみがえってくるが、じゃあおじいちゃん(つまりおばあちゃんの夫)はどうなるの?…そんな映画。

ナビィというのは、そのおばあちゃんの名前。「ちゅらさん」で日本中の人気者になった平良とみが演じています。じっくりと重みがあるのに可愛らしい島のおばあです。その夫を演じる登川誠仁はサンシン(三味線)の大家だそうですが、ひょうひょうとしてマジメなのに、ユーモラスで優しくて、いいのです。
東京から戻ってきた娘を演じている西田尚美がとってもステキで、いちばん輝いているときをフィルムに焼きつけた、感じ。島に流れてきた青年とスルっと(ほとんどおじいちゃんに押しつけられるように)恋に落ちるのも、流れるように自然です。

立花珠樹「あのころの日本映画がみたい!」では”キャスティングはパーフェクト”と書かれていて、なるほどその通りだと思いました。

12年前の沖縄で撮られた作品…個人的には沖縄ブームが20年くらい前にあって、それが落ち着いた頃の作品なので、当時は特に見たいと思わなかったのですが(同じ監督の「パイナップルツアーズ」は見たけど)、今だから懐かしい感じで見られたのかもしれません。

あー、本当にゆっくりする旅に出たいなぁ。そろそろ。(日帰り九州とか一泊二日ソウルとかじゃなくて。)以上。