映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

溝口健二監督「雨月物語」23

1953年作品。
でも時代物なので、ちっとも古臭くありません。
知的だけど野性的な森雅之、やっぱりステキです。
良妻賢母の田中絹代はとっても可愛い。
そして幽霊になった姫を演じる京マチ子は……美しいというか……いやこれどう見てもお雛様でしょう!でなければ能面と同じ顔です。こんなメイクってありなんでしょうか。

このレンタルDVDは、デッキに挿入するとすぐに本編再生が始まりましたが、画面右下にずーっと「再生開始中です。しばらくお待ちください。」が出たまま最後までいきました。けっこう邪魔。おかげで宮木が殺されたことは、源十郎と同じタイミングで気付いたという始末、、、

巨匠溝口健二監督って、写真を見るとちょっとアラーキーに似てませんか?お二人とも、女性の美しさを心底愛していかに美しく撮るかに心血を注いだ方々です。(←ちょっと無理やり)

姫の魔性の(というか、完璧な人形のような)美しさ vs 田中絹代の真心の透き通った美しさ。
女性からみるとどちらも美しすぎてリアルじゃないんですよね。歌舞伎の女形みたいで。男性から見た宝塚や少女漫画も同じ?それと比べると、新藤監督作品の中の乙羽信子はリアルすぎて夢がないくらいです。
リアルの方がよくて作りものはダメだとか、
完璧に近い美しさを追求するのが映画であって普段着の人なんか出してもしょうがないとか、
感想はいろいろだろうけど、私はいろんな人の作ったいろんな映画が見てみたいです。映画って本を読むより簡単に見られて、感想の共有もしやすいし、面白いですね。さすが動画の力。

ときに。古い映画が古臭く感じられるのは、どれくらい前の作品からでしょう。チャップリンでも50年代の「ライムライト」は古いと思いませんでした。
ヒッチコックはどうだ?サイコや鳥は60年代です。50年代といえば裏窓、ハリーの災難、知りすぎていた男、とか。うーん、どれを見ても、自分の時代のものではないけど古臭い感じはないですね。こうなったら40年代以前のものも見てみたいです。以上。