1986年作品。
新宿大ガードの下を中野方面からくぐって行くときの、オッペン化粧品のあじさいみたいなネオンとか、サクラカラーとかサンペイグッドカメラとか、上京したころに見ていた景色が冒頭から出てきて、フラッシュバックのような感覚をおぼえました。
時代の空気を映した若い映画と当時は言われたんじゃないかな。私より10歳、20歳若い人ならどう見るんだろう。私にはとてもリアルに、空気の冷たさや排気ガスのにおいも感じられます。
私はこの映画好きです。表に出ない人間味やあたたかさが伝わってくるし、松田優作と石橋凌が二人ともすごくいい。
石橋凌、若い!これが映画初出演らしいのですが、じつに自然です。(その後の映画は演じすぎてると言ってもいい)ヤクザの若頭に完全に見えます。ちんぴら、ではなく、わりあいオーセンティックで品のあるヤクザ。バンドマンだったのにどうしてここまではまってるんだろう。(はまりすぎて、その後の役がヤクザばっかりになってしまったのか)
松田優作の演じる役は、記憶喪失してるけどやけにめちゃくちゃ強い大男。最後にSFっぽいオチがあって、そこで鼻白む人もいるようですが、私はSFベースの人間ドラマとしてみたので、ふーんと思ったくらいでした。松田優作を見ても若いとか古いとか感じないのは、彼がこのあとすぐにあっちの世界に行ってしまったからですね。
今まで興味を持たなかった映画をなにかのきっかけで見てみるのって、やっぱり面白いなぁ。以上。