映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

降旗康男監督「駅〜Station」74

1981年作品。

日本の港町の風情って、荒っぽくて強くてからっとしてて、いいです。うっとりするような、しかし湿っぽくならない情緒のあふれる映画でした。

この映画ってオムニバスストーリーだったんだな。
高倉健演じる、射撃の名手の警察官と、そのもと妻や、犯罪者の妹、港町の飲み屋の女や、彼の同僚などがからんできて、北海道の町々でひっそりと出会ってはすれ違っていきます。

年を重ねて一人で年の瀬を迎える孤独、というのは、たいそう寂しいものなのかもしれないけど、多分石ころみたいにそこらじゅうに転がってるものでしょう。あえてひとりでいることには多分理由というか事情があって、そのほうがいいこともある、のだと思います。「いい」というのは、楽だとかわずらわしくないという消極的なことだけではなく、楽しいとか嬉しいという心地よいこともあるかもしれません。血気さかんな20代30代の感覚でものごとを判断しないほうがいい気がします。

健さんは素敵だけど、妻のあやまちを許せずに追い出してしまう男ってことか…。ストイックということは自分にも厳しいけど、許されなかった人も一生辛いんだろうな。健さんに憧れる人にも、自分やほかのひとの失敗を認めるおおらかさを持っていてほしいな、とも思います。
今日はそんなところで。