映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴィンセント・ミネリ監督「いそしぎ」75

1965年アメリカ作品。

TVでやったのをだいぶ前に録画しておいたのを、やっと見た。
テーマ曲が有名すぎますが、映画のイメージはまったくなかったので、へぇーこういう映画なんだぁー、と言いながら見ました。

今日のひとこと:「いそしぎ」って「磯鴫」っていう鳥だったのね…。
どういうわけか、「したしみ」とか「やすらぎ」みたいな“やまとことば”だと思っていました。ときどきこうやって馬鹿がばれますね。

エリザベス・テイラー演じる若い未婚の母親と、リチャード・バートン演じる初老の牧師が恋に落ちてしまうけれど、やがてそれぞれの道を歩いて行く、という物語。
おおむね真面目に生きてきた男の偽善を浮き立たせる、美しくまっすぐな女。
現代日本に設定を変えるとしたら、銀行員とストリートミュージシャンでしょうか。

テイラーが美しく豊かで、引き込まれるような天然の魅力をもつ女性に説得力を持たせています。バートンも硬いだけではない男性的な魅力を感じさせます。二人が恋に落ちていくのは自然なんだけど、デキちゃってから男の服装がダラダラになっていつも二人で砂浜に寝そべっているのも、自然すぎてなんか人の生活を覗いてるような感じです。彼はテイラーの5回目の結婚相手なんですね。寝そべってるシーンでここまで脱力出来るのは、演技でもなかったのか・・・。

ストーリーだけ見ると見る気がしないようなありきたりな不倫の物語ですが、予想よりさらにちっちゃい「いそしぎ」と海辺の風景が美しく、また、牧師の反省やその後のそれぞれの旅立ちが素直で、なるほど、大変ねぇ、と共感できます。
あと、ちょっと昔の映画を見ると、当時の風俗や映画作り文化が面白いです。この時代に友達に「ぜひ見て!」と薦める映画でもないけど、なかなかよかったなぁという感想でした。以上。