映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

エルンスト・ルビッチ監督「生きるべきか、死ぬべきか」113

なんと1942年、第二次大戦中のアメリカ作品。
「午前0時の映画祭」で見ました。
いやーまあアメリカってのはほんとにフリーダムな国だったんだな。
ナチスが台頭してきたポーランドの役者たちが、得意の演技を駆使しながら、スパイによる祖国の家族の迫害を阻止し、イギリスに逃れていくストーリーですが、まぁドタバタで、今はもうこんなコメディ映画作る勇気のある人はいないだろうなぁと思います。

ヒットラー映画の撮影風景で、ヒットラー役が「ハイル・マイセルフ」っていうボケをかまして監督に「勝手なことするな」と怒られるところでまず「こ、この映画はなんだ!?」。女優役のキャロル・ロンバードの声がハスキーで魅力的、演技も自然です。(この映画撮影後に事故で亡くなったらしい。)

チャップリンの全盛期は1910年〜20年代マルクスブラザーズの全盛期は1920年〜30年代。ドタバタ喜劇の伝統がしっかりあったから作れた映画だろうし、それにしても戦争中にこんな映画が作れたアメリカって国の懐の広さにびっくりです。言論の自由ってこういうことなんだな・・・。ちょっとだけ、あの国を見直しました。
本当に面白く、完成度の高い映画です。お薦め。