映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

市川昆監督「プーサン」114

1953年作品。
この時代は、がれきの山を抜け出して未来を築こうという、希望に満ちた時代だったんじゃないの?当時の朝日新聞に連載されていた4コマ風刺マンガの映画化なのですが、せっかく大学を出てもウダツの上がらない主人公は失職し、好きな女性にも振られ、なんもいいことないよ・・・ってな、なんともわびしい映画です。

主人公を演じたのは伊藤雄之介。彼が焦がれる、奔放な下宿の娘に越路吹雪
4コママンガなら「くすり」と笑えることが、つないで映画にすると胸が痛いような暗い世界になってしまいます。

実際はこの当時は朝鮮戦争特需で、儲かるやつは儲け、うまく立ち回れない人との貧富の差が広がって行った時期でもあるそうです。なるほど。

市川昆の出世作だそうですが、DVD化はされてないようです。
切なく温かい、というより暗く湿った映画でした・・・。
あ、でも八千草薫はすごく可愛かった。以上。