映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マルセル・カルネ監督「天井桟敷の人々」119本目

1945年フランス作品。
古い映画大好き。古ければ古いほどなんだか嬉しい!

第二次大戦中に3年3カ月、16億円もかけて作られて、終戦の年に公開されたそうです。
冒頭からレトロで、描き眉の美女、小人のサーカスや盲目を装った物乞い・・・ゾクゾク、ワクワクが続きます。主人公バチストのパントマイムは本当におかしく素晴らしく、当時の劇場に詰めかけて、息をのんで舞台を見ていた人たちのように引き込まれていきます。

しかし190分って長すぎませんか・・・3時間10分だもんね。と最初は思ったけど、長時間ドラマ上下2回分という感じで、ちっとも長くも冗長でもありませんでした。
いくら美人でも、これほどの男たちが命がけで追いかけるもんあのか・・・と驚いてしまうけど、多分美醜だけにとどまらない魔力がある人っているんだなぁ。

神経質そうで純粋そうで、繊細な素晴らしい演技をするパントマイムマーのバチスタ。人気俳優、伯爵、さまざまな人が負う美人女優ガランスは、訳あって伯爵の妻になりますが、バチスタのいちずな愛情がずっと忘れられません。見ている者も、彼らの感情に心を打たれます。

楽しくドラマチックで美しい。3時間を飽きさせない名作です。
なんと!下記「嘆きのテレーズ」とカップリングの格安盤DVDで手に入りますぜ。
著作権に期限があってよかった!以上。