映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ポール・マザースキー監督「ハリーとトント」125本目

1974年公開作品。

ヒッピームーブメント後期なのかな。私が一番好きな“70年代のアメリカ”の映画です。
なんで好きかというと、小さいころに見た「ベンジー」とか「クレイマークレイマー」とかの中に出てくる、やさしい人たちがリラックスして暮らしてるところ、っていうイメージがあるからかな。
この作品もちょうどこの映画と同じ時期に作られていて、なんだか懐かしいかんじの街角が映しだされています。

妻に先立たれ、愛猫トントとニューヨークで暮らしている72歳のハリー・クームス。アパートが取り壊されることになり、息子が引き取ろうと言い出すが、彼らの家族とうまくいきそうになく、シカゴの娘の家に行くことにする・・・。その行程や暮らしを描いたロードムービー、です。

取り壊されるアパートに最後まで居座って、椅子に座ったまま警官たちに下ろされたり、空港やバスでケンカしたり、ヒッチハイクの家出娘を乗せて走ったり・・・。いろんな人と関わることで、次々に新しいことに出会い、小さな事件が起こっていきます。ハリーは頑固だけど自由で、とてもチャーミング。この人と一緒に旅を続けて、いろんな人と出会ってみたい。もっともっと見たい、という気持ちになる映画でした。

ほのぼのとした映画なんだけど、意外にもR17指定。ドラッグやってる人とか娼婦とかがふつうに出てくるからかな。

面白かったです。この映画好き。以上。