映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

園子温監督「奇妙なサーカス」137本目

2005年作品。
※ジャンル「アダルト」なので店頭で借りるとき覚悟してください?

変な映画・・・と思って見ていると、とんでもなくグロい展開が始まって、最後はフリークショーで終わります。
変な映画はたくさんあります。この映画がどう変かというと・・・ストーリーももちろん、母とそっくりな娘と母を父が交互に抱くという近親相姦も変だし、ドラアググイーンとかコビトの天使ばっかり出てくる奇妙なサーカスが冒頭その他あちこちに出てきて変です。でも全体のトーンが何より変。嫌いじゃないです、こういうの。美しく作ってあるから。宮崎ますみも、少女時代を演じる桑名里瑛も、とてもきれい。いっぱい血が流れるシーンや、みにくさを強調するシーンもあるけど、監督はそれが怖いものだとか汚いものだとか思ってない、美しいものの一部だと思っているのでは?と思います。

後半の登場人物もいいですね。田口トモロヲは「うなぎ」のちんぴら役が最高だったけど、あれは1997年だから8年後。すこし脂が抜けました。いしだ壱成は・・・なんていうか、オレオレ詐欺グループとか、アマチュアのビジュアル系バンドとかにいそうな若者、みたいな感じ。
成長した娘を演じた不二子も美しいです。

私はこの監督の最近の作品しか見てないからかもしれないけど、キリスト教、発狂→正気、性、といったいつものモチーフが融合する前の、荒っぽい素のまま画面にぶつけられているのかなーと思います。

いやーそれにしても最後のほうは怖かった。でも、不思議ですごいサーカスの光景が頭に残ります。もう一度見てみたい・・・。以上。