映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

園子温監督「恋の罪」192本目

2011年作品。

渋谷円山町で、街娼をやっていた一流企業OLが殺された事件に“インスパイアされた”作品。ストーリーは完全にフィクションだし、事件の経緯も事実とはまったく違います。これが「園子温らしさ」なんだな。やっぱりこの人は面白いです。

しばらく他の人の作品を見てから戻ってくると、やっぱり園子温の映画は濃いなぁ。出演者が「出演者」を超えてます。なんか恐ろしいサーカス小屋の中で生きる人たちみたいで、撮影が終わったら普通の民家に帰って寝ると思えない。
悪夢のような世界・・・。といっても、「園子温スプラッター度」は5段階中の3くらいでした。どろどろだけど綺麗な3人の女性がとても素敵だし。

水野美紀・・・この事件の謎を解く刑事。だけど夫の友達と浮気してる。この浮気相手がアンジャッシュ児島、そもそもあまりにもイメージ通り。いいけど、芸をやってるときみたいな照れ笑いっぽい表情があったら、さらにリアルに怖カワイかったかも。

神楽坂恵・・・作家の妻だけど貞淑を演じているうちにストレスがたまりすぎて性的にハジケてしまう。監督の嗜好なのでしょうが、この人は「染まりやすい素直な女性」を演じることが多くて、たまにMっぽくなるのがちょっと嫌だけど、最後に生き残りそうな強さや健康さが感じられるところが良いです。彼女がいないと全滅になっちゃうから。

冨樫真・・・大学教授で街娼というものすごい役どころですが、どっちをやってるときもそれぞれ綺麗で、すごい女優さんですね。

いやー、相変わらず濃くて満足。園子温監督は、ストーリー作り、画面作り、総合力もすごいけど、なによりも人を動かす力が群を抜いてます。他のどこで見てもふつうに見える役者さんが、ここでは異形の人になってしまう。これからも見ます、この監督の映画。以上。