映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロベルト・ベリーニ監督「ライフ・イズ・ビューティフル」201本目

1997年作品。

名高い名作だし、ストーリーも結末も知ってしまっているけど、面白かった。
笑える、という意味で面白い。
感動したり悲しくなったりするつもりでなく、笑いながら見て、最後の最期に笑いながら号泣、という感じです。

恐ろしい状況の中で笑いを貫こうとする強さに笑って泣けます。
実際には、笑いぬこうと頑張りに頑張っても、亡くなった人が膨大な数いるわけだけど、もう後世の者と言える私たちには、こういう寓話を作って語り継いでいくことも大事。終戦直後ではなく、悲しみや怒りを通り過ぎて出しつくした時代になってからやっと作れる作品です。

お祖母さんが店に訪ねてきたときに、ジョズエくんはウソを簡単に見破るという場面があります。本当は全部わかった上でお父さんにつきあってるのかな、と疑いながら見てしまうよう仕向けられているわけです。でも戦車が来て「本当だったんだ!」というジョズエ歓喜は本物で、一瞬私たちもわーっ!と喜ぶ。

アンネの日記、お父さんバージョン。どんな時にも優しくできる人は神様だ。少しでも近づきたい、と思います。