映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

中原俊監督「櫻の園」204本目

1990年作品。ギリギリ、私の分類上「新しい映画」です。
つってももう23年前の作品で、当時の女子高生はくるくる巻き髪かショートボブ、今はお譲さん学校でもこのファッションはないだろう。

でも普遍的な少女たちの美しさを、奇跡的にフィルムに残した作品です。
この感覚は「誰も知らない」を見たときと似てる。普段あまり演技をしてないから自然にできる演技。彼女たちはその後成長して、それぞれ素晴らしい活躍をしているけど、この映画の中の天然の美みたいなものはこのときにしか撮れなかったものだと思います。

「バトルロワイヤル」とか「告白」とか、今は隣の席の子がみんな敵に見えてしまう時代なんだとしたら、この映画の中の女の子たちの素直な優しさや思いやりが、現実のものと思えないかもしれません。

二度と同じものは撮れない、神様がくれた奇跡の映画のひとつです。

リマスターHD版DVD、とても美しいのでお薦めです。