映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

中村義洋監督「フィッシュ・ストーリー」207本目

2009年作品。原作は伊坂幸太郎

いかん、この作品の良しあしは客観的に判断できない。

“逆鱗”の“フィッシュ・ストーリー”が良すぎる。(監修:中村和義)私は自称元パンクスなので、この手のビートとかリフが来ると体がタテに動き始めます。高良健吾のダラっと爆発するボーカルがすごく良い。この子いいなぁ。可愛い。

昔私も使ってた国分寺のGOKスタジオが実名で出てきてちょっと震えた。(冒頭にサンロードが出てきたし、レコードやもCOCONUTS DISCだし、吉祥寺移転後の話だろう)

この映画の展開のしかたも、私が単行本を買い始めた1990年前後の新人が文芸とか群像とかに書いてた小説っぽくて、意味もなくツボにはまります。

「外道」とか「村八分」というバンドがあった時代の話なので、「逆鱗」があってもおかしくないと思う。花田時代のルースターズみたいだ。

彗星だか隕石だかが地球に追突して東京を100mの津波が襲うのって、わりとリアルな地球滅亡シナリオですね。

まぁタイトル通りホラ話、というか、おとぎ話だと思って見ればとても面白いと思います。(←抑えている)

しかし・・・伊坂幸太郎の夢、妄想、想像、の世界って運命論的にすべての事象がひとつの点に帰結するんだな。物覚えの悪い私には、自分の行動のどこかの一片が何かをこんな風に変えるなんて思えない、思いたくない、だって覚えてられないから。でも面白かったからいいか。伊坂本人も、大ボラ話ってタイトルをつけてるくらいだし。

タイトルの「Fish story」は普通の英語力をもってして「ホラ話」だと理解できるという前提らしいけど、私はそういう意味で使うときは「Fishy」と変化するんだと思ってました。あ、それまた別の意味なんだ。・・・以上。