映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クァク・キョンテク監督「友へ チング」223本目

2001年作品。

近々プサンに旅行しようと思ってるので、その記念に見てみました。

韓国のプサンで生まれ育った幼なじみの少年たち4人。高校で再会したとき、みんなで他の高校のやつらと戦った。その後ばらばらになって、大学に入って留学したり、ヤクザの親を継いだり、葬儀屋が嫌で友達とは別のヤクザ組織に入ったり。その後も時たま集まって酒を酌み交わすが、昔と同じようにはいかない・・・。

ロマンチックな韓流ドラマや美しいK-POPスターからは遠い、ふつうの地方都市のふつうの人たちの物語。韓国の男性はとても強そうで、迫力がありますねー。兵役がある国の若者は鍛え方が違う、のかな。

今から20年くらい前の高校生は、日本とちょっぴり違うセーラー服とつめえり、日本のちょっと昔の高校みたいです。おお、パンチパーマもいる!野性的なイケメン、チャン・ドンゴンの悪っぷりもすごい。彼は高校の頃にヤクザの息子にパシリ扱いされたと思い込んでいて、かすかな恨みをずっと抱いていて、彼と敵対する組織に入って行ったんですね、きっと。ヤクザの息子は、たぶん、親分風を吹かせたかっただけなのに。

こういう世界って本当に韓国の地方にあるのかな?
“いいとこ見せたい”(以前ボスだった韓国人が、その気質をこう言ってた)韓国の男たち、子どもの頃の友情を熱くずっと持ち続けて、ヤクザでも堅気でも一生友達、っていう。九州の地方都市なら、ありそうな話だけどなぁ。

こういう普段着の、まったくカラフルなところのないお隣の国も、魅力的ですね。
眼を皿のようにして、彼らの生活を覗き見ようとした1本でした。

とある登場人物が刺されるシーンで、魚でいっぱいのトラックがひっくり返って、丸丸と太った魚がごろごろ転がってる中でのたうちまわる、という図が、ずっと脳裏に残りそうです。
以上。