映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・マッデン監督「プルーフ・オブ・マイ・ライフ」241本目

2005年アメリカ作品。

正常と狂気の瀬戸際にいる人の出てくる映画はどれも、見ると緊張する。不安でなんともいえない気持ちになる。自分がそうならないとも限らない、と思うからです。

精神をわずらった天才数学者に、こんなに丸丸とした姿を初めて見たアンソニー・ホプキンス。家で彼を長いこと介護している侍女にグウィネス・パルトローヒラリー・クリントン似の現実的な長女にホープ・デイヴィス。次女に関心のある父の教え子に、ジェイク・ギレンホール

父が病気で亡くなり、いまだかつて解かれたことのない定理の証明ノートが見つかる。これは父のものか、次女のものか?次女のテンションの起伏や、不安におびえる様子を見ていると、何が本当なのかわからなくなってきます。

このタイトルの「プルーフ」は数学でいう「証明」のことで、次女が自分の研究や介護生活や自分らしさを、胸を張って主張できるようになるまで・・・という感じの映画です。

なんとなく暗くて、見終わった後も力が湧いてくるというほどのポジティブさが最後までない映画ではあります。悪いことは何もないけど、なんとなく不安だけが残ります・・・。以上。