映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

錦織良成監督「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」250本目

2010年作品。

中井貴一演じる東京のエリートサラリーマンが、リストラした同期の友人に事故で死なれ、自分の母も病気で倒れたことをきっかけにして、故郷で小さいころの夢だった電車の機関士の募集に応募する。・・・というストーリー。

中井貴一は、エリートサラリーマンのときも機関士を目指すときも一生懸命で、仕事に厳しいけど誠実ないい演技だなぁと思います。本仮屋ユイカは素直で正義感あふれる女の子を好演。鉄道好きをくすぐる電車のディテールも楽しい。

時間の流れとともにストーリーが進行するという、シンプルな構成。ときに冗長な感じもあり、一方で東京の仕事を棄てて故郷で夢を追ってみようという決意が唐突。この監督が観客に見せたいのは島根のやさしく自然な暮らしの風景であって、ストーリーを伝えることは一番ではないように思えます。機関士になるまでと、なってからのどっちを描きたかったんだろう?と思ったりもします。これを90分にまとめてくれたら、忙しい私は嬉しい。

タイトルの長さで、なんとなく中身を推し量れるようでもあります。思うに、脚本がもうひとつcrispだともっといいんじゃないかなぁ、なんて生意気言ってすみませんすみません。

たまたま1月に島根に旅行して、一畑電鉄に乗りました。小さいかわいい、地元の人たちの便利な足で、出雲大社駅に併設されたカフェも心地よく観光客も楽しめるいい電車でした。