映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロベルト・ヴィーネ監督「カリガリ博士」260本目

1919年ドイツ作品。音楽つき無声映画です。

これずーーっと見たかったんです。やっと手に入って本当に嬉しい。

町にやってきた移動遊園地の出し物、「カリガリ博士の箱」。中には25年間眠り続けている「眠り男」。(ゾクゾク)そして、出し物が町に来た日の晩から、謎の連続殺人が始まる・・・。

町全体が見世物小屋みたいに、斜めにゆがんで変な模様が描かれた壁は、奥行きのパースがおかしくて、絵本の中かキリコの絵のようです。
ことばを補おうとしてか、動きが大きい。フィルムの質が荒いからか、メイクが歌舞伎みたいに濃い。

この映画自体が、見たいけど見ちゃいけない、見世物小屋の中みたいで、魅せられます。
1919年のドイツはどういう時代だったんだろう?こんな暗黒映画が受け入れられる時代だったのかな?・・・1918年に第一次大戦で負けて、1919年にワイマール帝国が発足したけど政治は不安定・・・そんな時代の映画だそうです。その不安はじゅうぶんに伝わってきます。子どもが見たら震えあがるほど恐ろしかっただろうな。・・・そんな暗黒っぷりを評価したいです。

DVDについていうと、すごい絵だけどこのとおりの映画です。
単品で買うと500円だけどコスミック出版の「ミステリー・サスペンスコレクション」を買えば10枚入って1600円だよ!