映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山下敦弘監督「苦役列車」284本目

2012年作品。
新しい映画見るのって、時流に乗ってるかんじでいいなぁ

この映画は・・・コメディだよね?
プロレタリア映画だったらどうしようと思って見始めたけど、森山末来のひねくれてもどっかカラっとしたところがおかしくて、こういう奴いるよな〜って笑いながら見ました。

森山未来って、へんな役やると強いですね。
普通の人たちの中にいる、ちょっと変な奴やちょっといい奴、ちょっと青臭い奴、とか、どういう役でもやりきれます。
こういう奴いたよ、学生の頃、なんかゴツゴツしてるんだけど、不器用なだけで悪くない奴。

男のなかには、女はみんなやりたがっている、みたいなことを本気で思ってる人が実在する。信念だから変わらないんだよね・・・。

私が大学生のころ、友達に中卒で働いてる男の子が何人かいました。体使って働いてるから、みんなスリムでカッコよかった。でも学歴がないことが、いろんなところで彼らを区別だか差別だかしてた。あの素敵な子たちは、今どうしてるだろう?ちょっと胸が痛む。

親が犯罪者で一家離散した家の子どもでも、幸せになれるのか?
答えはYesだけど、5年かかるかもしれないし15年かかるかもしれない。35年かかるかもしれない。がんばりきれなくて諦めるかもしれない。でも、なれるよ。

・・・というような、若くてあきらめた男の子の映画だということはいいんだけど、なんか急に終わるし、何が言いたいのかというより、何がしたいのかよくわからない、というか何がしたいのか全然わからない映画でした。原作が芥川賞受賞作なんだとしたら、どこか光る、目立つ部分があったんじゃないのか?とも思います。