映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・ギラーミン, アーウィン・アレン監督「タワーリング・インフェルノ」304本目

1974年のアメリカ映画。リアル、ARGOの時代。

面白かったです。
すごくよく作られた映画でした。
今はもうあまり誰もこの映画について語らなくなっているのが残念なくらい。
見終わった後に、深い人間愛のなんたらが心に残るというような映画ではないんだけど、パニック映画としての起承転結や構成の出来の良さ、完成度の高いセットや撮影技術、俳優さんたちの輝き、など素晴らしいものがいっぱいある映画です。
だって、スティーブ・マックイーンポール・ニューマンが競演してるんですよ!?
ポールさんもステキだけどスティーブさんの素晴らしさといったら。
彼の演技の説得力はすごいですね。「演じて」ない。彼はそこで消防士をやっているのです。悩んで、汗を流して、人命救助を行っています。その姿が見る人を強く引き付けます。

全体の雰囲気がとてもいいのは、制作チームが一団となってがんばっていたからかな、とも思います。

この映画、私が小さい頃、母と姉が初めて一緒に大人用の映画を見に行ったという作品で、今でも私は自分が怖くて連れて行ってもらわなかったことを覚えてるのですが、本物の高層ビルに本物の飛行機が突っ込んで行った映像を見た後では、人が落ちて行く映像もある程度冷静に見られます。下請け業者に値引きを強要したり、手抜き工事のせいで出火したりする設定にも現実味があって、なんとなく襟を正してしまいます。

いい作品ですよ。まだ見ていない人にはお勧めです。