映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

テリー・ギリアム監督「ブラザーズ・グリム」311本目

2005年作品。

吹き替え版を見てしまった。
テリー・ギリアム作品というので、名作「未来世紀ブラジル」を期待してしまったけど、間違ってました。
マット・デイモンの演技とカメラワークがハリウッド的すぎて、テリー・ギリアムらしさが感じられません。…でも、未来世紀ブラジルで主演した、ジョナサン・プライスの館に行ったあたりから、監督らしさが強くなってきて「ニヤリ」という感じの魅力がでてきます。ジョナサンさん、未来世紀の頃よりずっと腹の据わった大人になっていて、いいですね。

ヒース・レジャーもとても魅力的です。頑強だけど繊細で、知性を感じさせます。マットデイモンより彼をもっと中心にして描けば、英国的テリーギリアム的世界がもっと広がったのでは。(当初その予定だったらしい)惜しい人を亡くしました!ほんとに!

モニカ・ベルッチの魔女も、はまり役ですね。

イデアが面白いし、そこここにかぐわしい英国臭がするんだけど、ハリポタでなくもっと本当に英国的魔女的な怖いくらいのしつらえをしたほうが良かったと思います。つまり、もっとテリー・ギリアムのひとりよがりを通してほしかった。主なキャストやスタッフの選択でいくつか間違えてしまったという気がします。