映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ビリー・ワイルダー監督「サンセット大通り」326本目

1950年作品。

これもずっと見たかった1本です。
理由1:大好きな怪作「マルホランド・ドライブ」がこの映画のオマージュだから
理由2:巨匠ビリーワイルダーの名作と呼ばれる作品だから
理由3:今までに見たこの監督の作品はみんな暗いけど、コメディの巨匠でもあるらしいから
 
…理由4:「サンセット77」と間違えてて、楽しい映画だと思っていたから

サイレント時代に活躍したスター女優が、トーキーに押されて過去の人になってしまったという映画なんだけど、ナレーションの多さがサイレント映画っぽい。ラストの大仰さも。1930年代の映画みたいでした。

落ち目のスターが落ち目のスターを演じるなんて痛いよ〜と思うけど、リアル昔のスターがたくさん出演してるらしい。トランプ会に呼ばれる”蝋人形たち”のなかにバスター・キートンがいてびっくり。この映画ももはや昔の映画なわけで、時代は移り変わりこの映画が名画として残ることを考えればできる仕事だと思うけど、その割り切りってすごいと思う。

といってもグロリア・スワンソン、当時まだ50そこそこで、全然きれいです。この映画は、彼女が老いさらばえているから怖いんじゃなくて、異様にからっぽな家のなかにちょっと狂った美女がいて、金にものを言わせて、執事を従えて好き放題やっていることが怖いんだよね。
当時32歳の、脚本家役のウィリアム・ホールデンは、徐々にクモの巣にからめとられていきます。ちょっと「砂の女」みたい。

マルホランド・ドライブを見た後なので、車に乗っているシーンがトラウマだなぁ。
見応えがあったけど、何て言うんだろう、昔見た「イヴの総て」の方がやっぱり印象に残ってます。なんでだろう?のし上がって行く人のポジティブなエネルギーに押されたのかな。この映画はうすら寒いところがあるのと、ウィリアム・ホールデンがどうも私は印象の薄い二枚目ってイメージがあるからかな。

ほかの人たちの感想に興味があります。うん。