映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スティーブン・ダルドリー監督「リトル・ダンサー」334本目

2000年に製作されたイギリス映画。

サッチャー氏の訃報を受けて、彼女の政権時代の労働者たちのことがよくわかる映画ということで借りてみました。
テレビドラマっぽいなと思ったら、これもBBC

T.REXの曲がこれでもか、これでもか、と使われた映画。
冒頭のCosmic Dancerはこの映画のテーマのようになってるし、Get It On、Children of the Revolution、We Love to Boogie、Ride a White Swan。ClashのLondon Calling、The JamのTown Called Malice…1984年が舞台で、その頃ちょうど自称パンク少女だったのでなじみの曲ばっかり。
もちろん監督はT.REXが好きなんだろうけど、UKでは国民的に知られた曲ばっかりだし、歌の印象的なフレーズをナレーション代わりに使うことでコメディっぽくしてるのかな、という印象です。その辺がテレビっぽい。お茶の間で週末の夜にテレビで楽しむもの、という印象です。

この映画、どうとらえようか?人間成長ドラマ…そうだけど…サッチャーや工場長に怒りをぶつける人たちに「こんな人生もアリなんじゃない?」と話しかける映画、ととらえたいです。夢が全部かなう訳じゃないけど、

舞台はイングランド北東部Durhamという町。
主人公のお兄ちゃんが「ふぉこふ!(fuck off)」って言うのがロンドンらしくていいかんじ。
「へーふぉきんででっ!(He fucking did it!)」奴受かりやがったぜ!と父ちゃんが言うのも素敵。
ロイヤルバレエ団って難関なんだろうな。
解説に「チューブ・テイルズ」と同じ人の撮影とあって、そういえば昔そんな映画見たなーと思い出しました。
英国的ないろんなディテールも、また楽しませてもらいました。パパがいい男でした。