映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

曽根中生監督「天使のはらわた 赤い教室」343本目

1979年の日本映画、というか日活ロマンポルノの傑作と呼ばれている作品。
つってもレイプを撮影したビデオが裏で出回って、自殺未遂、その後何人もの男にもてあそばれて、落ちるところまで落ちていった女の話、ってそれ犯罪被害者以外の何ものでもないでしょう。

「赤い髪の女」は、自分から迫ってくる美人だけど変な女って設定だったので、まぁそうかと思えたけど、この映画はアウトっちゃあアウトですね。

堕ちていく女の美しさ、というのはわかる。主演の水原ゆう紀は顔も体もものすごくキレイで、そのつるつるのお肌を汚してやりたい、と思ったりするもんなんでしょね、男って。

この映画にはたしかにドラマがあるし、ふつうの映画には出せない侘しさもある。
でも「吉原炎上」だって昔からの歌舞伎の演目だって、日本には売春が当たり前っていう歴史的感覚がある気がします。ふつーの教養ある大人でも、です。そういうのが世界の中ではもう異様なんだってことを、認識しておいた方がいいと思う。

この作品は多分、エッチな気持ちで見た人にも、ドラマのつもりで見た人にも、中途半端な印象を残すでしょうね。最初から「ロマンポルノの傑作」という前提で見てください。ぜひ。