映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウォシャウスキー姉弟+トム・ティクヴァ監督「クラウドアトラス」 348本目

NYに向かうデルタのフライト内で見ました。こういうときに3時間の映画はちょうどいい。
エコノミークラスでも、8インチくらのタッチパネルディスプレイで、50くらいはありそうな映画の中から好きなものを選んで見られます。食事は相変わらずまずいというよりひどいけど、こういうサービスの進化には目を見張ります。

さて感想です。ウォシャウスキー姉弟は人生や道徳を説いて深く感動させるタイプの監督ではなかったはず。おおーっ、こんな表現がまだ残っていたか!と思えれば彼らの勝ち。「フィッシュ・ストーリー」みたいにすべてがキレイすぎるくらい一点に帰結することだけが良いわけではないので、こういうのもアリかなと思います。少なくとも、これほど多数の役者さんがいろいろな役割を演じ分けるという映画をたぶん初めて作ったのは「そう来たか!」です。

映画としての面白さはすごくあったと思います。途中からみんな、「あっあの人トムハンクスだ」「げげ、めちゃくちゃいい役だったのに今度はヤバい人になってるよ」「ソンミちゃん可愛い」「ジム・スタージェスの一重まぶたメイクは無理がある」とか言いながらどきどきわくわくしたよね?

1点に帰結する=唯一無二の真理が存在する、という帰結だと安心感はあるけど、実際にはいい人が違う立場では悪い人になり、やられる人が違う場面では攻撃側に回る、というのが現実だもんな、という仏教的因果応報な輪廻転生物語でした。

イギリスの役者さんをたくさん使ってることも、個人的にはポイント高めです。
もういいと思うくらい長いけど、じっくりDVDでも見直してみたいです。