映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

犬童一心、樋口真嗣監督「のぼうの城」353本目

機内で見ました。
面白かったよ。歴史物だとつい、どこまで史実なんだろうって考えながら見てしまうけど、あんまり気にしないで楽しんだ方がいいね、きっと。
野村萬斎は、やっぱりすごい。この映画の中の役割こそ、まさに「狂言回し」の真骨頂です。本物のコメディアンには、戦場の緊張感さえ緩ませてしまうパワーがある。役者さんたち、みんないいけど、榮倉奈々の力まかせの演技もけなげだし、上地雄輔も色気と実力のある敵軍の武将になりきってました。自称知将の成宮寛貴も,甲高い鈴木保奈美の「オーッホッホッホ」もよかった。

もともとの「のぼう」のイメージは大男ということで、ピエール瀧(最近スリムだけど)のほうが近いのかな。萬斎が演じたのは「バカ殿」のバリエーションだったけど、でもこれだけの大役を演じきるには、狂言師を何十年も続けて来た蓄積がなくてはならなかったように思います。

そして犬道一心らしい、人間愛の感じられる締めくくり。
面白いけど、「面白いだけ」なのか、さらになにかすごいものがあるのか、最後までわからない映画でした。