映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウィリアム・ワイラー監督「嵐が丘」364本目

この原作、何度も映画化されてますが、私が見たのは1939年版。
主演はローレンス・オリヴィエマール・オベロン
マールオベロンという女優さんは初めて見ました。可愛らしく生意気でちょっと意地悪、というキャシーにぴったりですが、若干印象が弱いかな、という気もします。
ローレンスオリヴィエは、ハムレットに出た人というイメージで、お行儀の良い紳士的なイメージだったのですが、三船敏郎の若い頃みたいに野性的です。

ストーリーは…愛、憎悪、復讐、家、家族、ひっくり返ってまた裏切られ、という韓国ドラマのような内容で、純文学とメロドラマの区別がどこにあるのか、わからなくなってしまいます。区別なんてないのかな。

このバージョンでは、原作の第二世代(ヒースクリフ、キャサリンのそれぞれの子どもたちの確執)はばっさり落としてあります。そのおかげで、わかりやすいシンプルなドラマに仕上がっています。

ケイト・ブッシュの「嵐が丘」の Heathcliff, It's me, I'm Cathy, I've come home ってのが頭の中でループする…。人間の情念って感動的で恐ろしくて切ないなぁ…。以上。