映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

澤井信一郎監督「Wの悲劇」368本目

1984年作品。
なんともう29年前ですね。いまテレビに出ている役者さんが多いので、それほど時間がたった気がしません。といっても、メイクの濃さやスカートの長さ、等々を見ていると、むしろもっと古い映画のような雰囲気もあります。

薬師丸ひろ子が主演ということでアイドル映画かと思ってたけど、やけに評価が高いので見てみました。
いいですね、面白い。舞台と現実の交錯のしかたも、その両方で翻弄されながらも自分を見つめる彼女の姿も。
三田佳子をはじめとする大俳優陣の大芝居のなかで、薬師丸ひろ子の素人っぽさが目立ちます。彼女の持ち味は、この前の映画でもその後も、素のままの素朴な女性というところなのでいいんだけど、これほどの野心があるように見えない…。でも「セーラー服と機関銃」の「カ・イ・カ・ン」で見せたような芯の図太さも魅力で、角川はそれも含めて後にも先にもないユニークなアイドルを作ったんだな、と改めて思います。

蜷川幸雄がコワイ演出家の役を演じてるのが、おもしろいです。