映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ウォルト・ディズニー「ファンタジア」391本目

この作品、何年も前から一度見てみたいと思ってたんだけど、やっと見ました。
ミッキーの「魔法使いの弟子」を楽しみにしてたし、クラシック音楽と映像との素晴らしい出会い…ということにも、かなり私は幻想を持っていました。そういう意味では、残念ながら、がっかりな作品です。

楽しい「魔法使いの弟子」のようなアニメで全編統一してもよかったんじゃないかと思うし、「魔法使いの弟子」すら、主人公のミッキーの画像が背景の細かさに比べてベタ塗りすぎてぱっとしないし、音楽がメインなのかアニメがメインなのかが伝わってきません。

ストーリーのないアニメの方はもっとダメで、もう少しすごい想像力がありうるんじゃないか?と思います。作画の前に、音楽からイメージを思い浮かべる段階で、もっともっとがんばってもらわなければ。
いくら70年前といっても、フルアニメなんだから現実にあり得ないものすごい光景を描くことができたんじゃないかな。そういう意味で、ディズニーは現実にありそうな楽しいアニメを作ることに長けたプロダクションだけど、“狂った妄想から生まれるすっごい芸術”からは遠い場所だったんじゃないか、という気がしてなりません。

ディズニー自身が、「高い芸術性の作品」を作るために3年の年月と膨大なお金をかけたと書いてあるのを読みましたが、芸術という言葉の意味を誤解してしまったとしか思えないです。

映像品質の良さや、アイデアの新しさなど、すごいと思える部分もあるので2.4点にしたけど、これは作っちゃいけない映画だったのではないでしょうか…。