映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン・ルノワール監督「大いなる幻影」395本目

1937年に公開された、フランスの戦争映画。
映像も音声もきれいだし、役者さんたちも洗練されていて、ちっとも古さを感じさせない作品です。でも、フランスとドイツの間の戦争を描きつつ、テーマが”軍人と捕虜の友情”であるあたりが、ナチスとか原爆とか以前の作品であることを示しているように思います。

冗長…ではないけど2時間は長いな。脱走を始めるまでは人間が多すぎてなかなか主要人物に集中できません。
が、逃げ出した後は進行が早く、見入っているうちに映画に入り込んでいきます。

ドイツのローゼンタール大尉を演じるエリッヒ・フォン・シュトロハイム(映画監督でもある)、フランスの気のいい貴族を演じるジャン・ギャバン、ほかメインの人たちの人間味あふれる演技がとても良いです。
なんか、朝ドラの登場人物みたいに、みんな優しくていい人です。

大いなる幻影」=La Grande Illusion というのは、脱走という夢を見て散って行った人たちのことなのか?戦争自体が幻影だということなのか?