映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

是枝裕和監督「幻の光」398本目

そうか、デビュー作からこんな映画を撮る人なんだ、是枝監督って。
元気で明るくて強いイメージの江角マキコにこの役を当てるというセンス。
彼女だから、こんな状況でも死にからめとられずに前を見る女性がリアルに見えるのかな。
HuluをPC上でで見たので、小さい画面をいくら明るくしても見づらくほとんど真っ黒な感じでした。
見てるこっちも、ずるずると虚無界に引きずり込まれてしまいそうです。

夫を、妻を、失った二人が、夫婦としてぐっと近づいたり、ふっと離れたりしながら、踏みとどまっていく、薄氷の上を歩くような安心と不安。ハッピーエンドではないようにも見える結末。
日本の田舎の町でそうやって生きることが、ヨーロッパのどこかの田舎町で生きることともつながって普遍的に感じられるのかもしれません。