映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

行定勲監督「Go」407本目

面白かった。どんどん見ちゃってあっという間に2時間。

でもひっかかるなぁ。
冒頭の疾走する感じが非常にカッコいいんだけど、いまどき、クラブでアフロの男の子を逆ナンするようなイケてる女の子が、相手が在日だとわかったとたんに、触れられるのもヤダーー、なんて、それはないだろう。
流れ星なんてダセー、って言うような女の子が。
相手が実はフィリピン人のクォーターだったらどうなんだろう。イラン人だったらどうなんだろう。

今でもこういう問題が、関係する人たちの心を引き裂いてるということは、知らないわけじゃない。でもツリ目でキュートで怖いものなしのギャルが、こんなこと気にするなんて、映画として面白くなくないですか?

ダメダメな警官、萩原聖人がとても可愛いんだけど、在日カミングアウトして振られて出てきた窪塚洋介の愚痴をきくためだけの存在っぽくて、ストーリー展開上無理がある。こういうのって、思うに、原作の問題じゃないかなぁ。

とはいえ脚本を書いたクドカンらしい魅力があちこちに見られるし。役者さんみんな素敵だし。
山崎努すてきすぎる。
窪塚洋介は青くて精悍で、この映画がいままでで最高。
柴咲コウ可愛いすぎる。
新井浩文も、萩原聖人も、とても良い…
大竹しのぶだけ、いつものように大竹しのぶだなぁ。

問題意識のありようはいいんだけど。
「俺は何人だ」って聞かれても、あんたが自分で言ったんじゃないか…
うーん、柴咲コウの演じる役柄は芯がぐらぐらしてるなー。
彼女と再会して急にぶち切れる窪塚も、なんで急に怒鳴る?

この映画の全体的なできの良さは、監督やプロデューサーや脚本や俳優の勝利で、原作ではない、という気がします。