映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ベルナルド・ベルトルッチ監督「1900年」409本目

1976年制作。
こういう長尺の映画は、316分=30分×10回+αってかんじで、まとめて録画したテレビドラマのように見ればいいのかな、と思う。壮大で緻密な歴史物語でした。

ロバート・デニーロはイタリア系だろうけどアメリカの人だよね、イタリア語話せるのかな?…と思ったら、この前に出演したゴッドファーザーのときに役作りで覚えたらしい。

少年ポルノ?とか言って今なら問題になりそうなシーンや、豚をほんとうに殺して解体するシーンにはびっくりしました。監督は、きれいなものを作ろうとしたんじゃなくて、本当のことを描こうとしたんだな、と思う。つっても女性が見るとリアルというよりちょっと引くかもしれないけど…。

少年時代のアルフレードとオルモは、お坊ちゃんのアルフレードがぽちゃぽちゃしてる一方でオルモはもう大人のような表情です。それが大人になると、アルフレードロバート・デニーロはお坊ちゃんぽいけどしたたか、オルモ=ジェラール・ドパルデューは体育系の単純な青年みたいな感じになっていて、子どもの頃とイメージが違います。監督の意図なのでしょう。時間がたって時代が変わって、強かったものが弱くなり、弱かったものが強くなることもある。これが成長ってことなのか。
その後、また時代が変わると今度は地主が徐々に弱っていき、”革命家”オルモが英雄になります。だけど共産主義が勝ったのかというと、それも違う。
正義を貫けない地主だけど悪い奴ではなかったアルフレードは生き延び、オルモと一緒に、でも失意のまま年をとり…
完璧な役作りをするロバート・デニーロ、しかしあまりにも若すぎて、老人の動きはちょっと若々しいなぁ。

ドミニク・サンダ、初めて見たけどジュリア・ロバーツに似てますね。とてもきれいで、酒浸りになってもどこか芯の強さを失わない感じで素敵でした。