映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

竹下昌男監督「ジャンプ」412本目

佐藤正午原作、2004年作品。
(2013年6月13日現在、Amazonのリンクが間違ってますが、どうやって報告すればいいのかなー)

私の好きな作家の作品が原作だし、NHKでドラマ化された「身の上話」が面白かったので、こっちも見てみました。
最後の最後に大どんでん返しがあって、ほんとうに驚かされます(原作読んだのに)。

ただ、音楽が…エリックサティみたいなゆったりとしたピアノが、どの場面にもあまりにも単調に繰り返されていて、主人公の心の中の不安も迷いもすべて、一見平和な日常に塗りつぶされて見えなくなる、ような気がします。
それに、ひとつひとつの場面での沈黙の長さとかが、冗長とまでは思わないけど、必然性があまり良く伝わってこないように思います。なんでだろう?うまく説明できないけど。

「身の上話」は日常のなかで人が死んだりして、ストーリーがドラマチックなので飽きる人はほとんどいないと思うけど、こっちはもう少し普通っぽく進行するので、最初の方何も起こらないあたりで退屈して、面白くなる前に見るのを辞めちゃう人とかいそう。特にHuluみたいな「見放題」とかだと。

それにしても佐藤正午はやっぱり面白い。地方都市の平凡な日常ってものがちょっと怖くなっちゃいますね。(と言いながらゾクゾクしてくる)