映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アラン・クロスランド監督「ジャズ・シンガー」419本目

アル・ジョルソンっていうんですね。当時の大スター。
ユダヤ系の名前をアメリカ的にして、そんな名前にしてたのか。(映画の中の主人公と同じ)
1927年のアメリカは、ユダヤ系であることがこんな風に映画でメインに取り上げられるくらい、主流だったんですね。黒人差別が当然だった時代に。

“顔を黒塗りして歌うこと”が“黒人差別”なら、シャネルズ=ラッツアンドスターも大変な差別シンガーズだ。この時代の空気が私にはわからないけど、彼だけが責められるべきではないような気がします。といっても、黒人が見たら不快に思う人も多いでしょう。(ピーター・ローレが日本人を演じた映画を見て、同じ気持ちを味わってみたい)しかしわざわざ顔を真っ黒に塗って舞台に立つくらいなら、本物の黒人シンガーを出せばいいのに。当時は出せない法律とかあったのかもしれないですね。

厳格なオーソドクシーのお父さんの声も美しいし、お母さんの愛情もすばらしい。アル・ジョルソンの歌うユダヤ聖歌も感動的です。

しかし「トーキー」部分はきわめて短いです。90分の映画全体の中で10分もないんじゃないかな?これをトーキーと呼んでいいのか?あるいは、「全編トーキー」という映画も別にちゃんと名を残してるんでしょうか。

そういう歴史的作品でした。