カトリーヌ・ドヌーブって、麗しい大人の女性ってイメージだったので、こんなに頼りない少女の役だということが意外でした。しかし、こんなに“普通じゃない”神経症的な感覚を、見てる人たちに共感させてしまうポランスキーの才能がこわいですね。
原題の「Repulsion」を辞書で引いてみると「嫌悪」が最初に出てきました。反撥というより嫌悪のほうが内容に合っています。男性嫌悪症という精神の病。
怖くてイヤな映画ですが、ポランスキーはあくまでも、現実的な締めくくりをします。アパートの部屋で、帰ってきた姉たちが彼女を発見し、アパートの老人たちがどやどやと入ってくる。(居間に入ってきてソファの下にあるものを見つけて、電気を消す老人の動きの理由がわからない。この意図はなんだったんだろう、気になる)
何の救いもない結末ではあるけど、妄想から現実に戻してくれたという安心はありました。
映画監督ってのはほんとに、意地悪な神の視点、って感じだな…。