映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロマン・ポランスキー監督「水の中のナイフ」429本目

ポランスキー監督、ポーランド時代の長編監督デビュー作。

シアター・イメージフォーラムでのポランスキー特集、この週末に2本昔の白黒作品(「反撥」と「袋小路」)を見て、残りこれだけになったので、一気に見てしまおうとレンタルしました。

緊迫感あるなぁ。夫婦二人だけで海に出て無邪気にヨット遊びをするということが、そもそも慢心であって危険なにおいがする。武器めいたナイフを持った見ず知らずの怪しい少年を車で拾って、ヨットにまで乗せてしまうのも、ゆるい。
案の定ケンカは起こるし、船は浅瀬に乗り上げるし、天候は悪化して三人は船室へこもる。
濃密な息苦しさ。(若い創作者って、こういう極限状態を描いてみたいって思うものなのかな。)
度胸が据わってるのはいつも女のほう。
事件が起こってからも、どう帰結するのか読めないので、ずっと緊張して見てしまいます。

オチの付け方も、なかなか意地悪で良いです。さすが青年ポランスキー。この人には、長生きしてしぶーい作品をもっともっと撮ってほしいです。

(DVD等はすべて絶版、中古品だけが出回ってるようなので、リンクなしです。)