映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

長谷川安人監督「集団奉行所破り」443本目

1964年、今から50年近く前の作品。時代劇だからというのもあるだろうけど、昔の作品という感じがありません。

河内弁のナレーションで幕を開け、その後も関西弁で全編が進行します。これが生き生きとして、リズム感があります。ストーリーは、町のチンピラたちが、奉行所を襲って貯めてある裏金を奪うというもので、痛快かつしんみりとした後味も良いです。

役者さんたちも大変魅力的です。冒頭のナレーションから、奉行所破りメンバーの一人、為七の演技へと流れるイントロダクションを担当した市川小金吾…じつに軽妙でよいです。この人誰かに似てるよな〜?花木京?まだ20代の里見浩太朗が初々しい。大立ち回りを演じる大友柳太郎は貫禄たっぷり。金子信雄は腹黒そうな魅力たっぷり。ケチなスリの捨吉を演じている神戸瓢介というのは、元は落語家で二台目林家染之助だそうです。ひょうひょうとしたかんじが、神戸浩みたい。

佐藤慶が演じるこわい役人が、実はいい奴だったというのも味があります。
こういう、隠れた名作(とか言うほど映画詳しくないけど)を紹介してくれるから、BSプレミアムシネマはありがたい…。