映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

レオス・カラックス監督「ボーイ・ミーツ・ガール」458本目

1984年にカンヌ映画祭ヤング大賞を取ったという、レオスカラックス監督の長編第一作。
奇しくも?、今放送中の朝ドラ「あまちゃん」で小泉今日子演じる主人公の母が、アイドルをめざして上京したのと同じ時代。なんでそこにこだわるかというと、自分も同じ世代で、東京の大学に出てきて何ものにもなれず、夢破れた少女やアレックスになんとなく感情移入してしまうから。(バブルなんて私には来なかった…)

スイートなタイトル、動物の子みたいな可愛らしさのあるドニ、でもせっかく若いのにまるで色彩のない日々。そういえば私も色選びが苦手で、白か黒の服ばっかり着てたな。若さや美しさは、うまく使いこなせるようになる頃には、もうなくなってたりする。

ドニ演じるアレックス君は、見た目が変わってるだけでなく、性格にも意固地で他人を寄せ付けないところがあって、食えない奴です。
ボーイがガールに声をかけるまで意外と時間がかかって、60分を過ぎています。とても美しく、やけにクールなミレーユ・ペリエ。少年が一瞬のうちに恋に落ちてしまって、急にわけのわからないことをつぶやいて口説いてしまう魔性の少女。
しかし「いつまでも幸せに暮らしましたとさ」とはならないことに気づく年頃、かつ、冷めた目で見るほど大人じゃないので、最後はよくわからないけど散るしかない…

若者の切実なリアルだなぁと思うけど、おばさんになってしまった私には、やっぱり「ホーリーモーターズ」が一番衝撃的でした。