映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ミーラー・ナイール監督「モンスーン・ウェディング」488本目

なんと、これは英語の映画なんですね。アメリカ映画なのか?
インドで暮らす家族が、なぜか英語で話している。
これって実際ありうるのかな。イギリスやアメリカのインド人の流暢な(アクセントはすごいけど)英語を聞いてると、それもありうる気がします。

監督はインドの大学を出たあとハーバードで映画を学んだ女性。
踊りのシーンはあるけど、ダンシングチームではなく、身内の結婚式で家族が踊るので、「踊るマハラジャ」やボリウッド系の映画とは違います。至極まっとうな人間ドラマで、だからこそインドでは受けなさそうです。

主人公の女の子、おっとりとした容貌で眼が青くて可愛い。
お父さんの愛情の深さが、すごく良い。
でもなんとなく、言っちゃなんだけどちょっと貧相な感じのウェディングプランナー氏の恋が、なんともいえずいいですね。マリーゴールドで作った大きなハートを持って、彼女の窓の外でじーっと待ってるところ。
結婚式のブラスバンドのうるささが「アンダーグラウンド」を思い出しました。家族のためににぎやかに奏でる音楽。

この映画はたぶん監督がアメリカの人たちに自分の家族の生活を紹介したくて作った、ハリウッドの文法で表現したインドなんだろうな。面白かったけど、文法のほうに如実に現れる、血の濃いインドらしさがない。もっとベタベタにボリウッドな映画に、もういいというくらい浸りたいなぁ。